電車に乗っていると、ときどきすごい人を眼にすることがある。
ある時は、自分の前の席に座った男性は膝の上にノートパソコンを開き、携帯プレイヤーを聴きながら、携帯電話でもなにか作業をしている。なんだか慌ただしい朝を急ぐビジネスマンをしている。
また、ある時に隣りに座っていた若者は、猛烈な指さばきでPSPのゲームをしていたかと思うと、ふっと溜め息をついて、それをしまうと、今度はNINTENDO DSを鞄から取り出して、次のゲームをまた猛烈にはじめる。

昨日の朝、電車のなかで、となりのとなりに座っていた小学生らしい女の子が新聞を広げて、どんぐり眼でいっしょうけんめいに記事を追っていながら、口で記事の内容を諳んじている。脇にはピンクとイエローのツートーンカラーの傘を持ち、背中には横長で布製のタータンチェックのランドセルを背負っているかわいらしい女の子。私は、電車のなかで新聞を読んでいる小学生の女の子をはじめて見たので、いったい何の新聞を読んでいるのか、思わずしげしげと眺めてしまった。読んでいたのは、毎日小学生新聞。なるほど。女の子は新聞をたたむと、ぽぉとした顔で中空をしばらく眺めていた。
台風一過。夕方、非常階段の踊り場から、ちらっとピンク色がかった青空が見える。屋上に上ってみると、中野サンプラザ方面に、きれいな夕焼けが出ていた。