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2007年 02月 08日
1988年 冬 アヴァロン。LAから船で小一時間ほど行った小さなリゾート島。 眩しい斜めの光が一直線に海岸にのびている。むこうにアメリカのチューインガム・メーカーの博物館が見える。 「青い月の光を あびながら わたしは砂の中に 愛のかたみを みんなうずめて 泣いたの 一人きりで」 たしかその一年か・二年前、お嫁さんになりたい彼女は、取り壊されることが決まったという逗子の渚ホテルの古びた暗いロビーで、こんな曲をなにげなく口ずさんでいた。逗子の海に面したちいさな洋館のホテルである。 目の前の海はグレーで、鈍い反射の光さえない午後のことだった。ぼくたち五人は、静かな波が打ち寄せるホテルの前の海岸をしばらく無口に歩いた。 あのころ夏になると、ボクたちはよく鎌倉や葉山、逗子に出かけていた。 ボクたちというのは、ついその前の年まで、夏に材木座の海岸でミニFM局を開催していた男と、その小学生時代の同級生でフランク・ザッパの大好きな男と、ソロ・アルバムを発表したばかりのギタリストの男とボクだ。 ある百貨店の仕事がレギュラーで決まったことから、いきなり会社をつくることになって、そのミニFMの男の呼びかけで集められた旧知のメンバーで、会社設立と同時に会社の株を持たされて、さっそく運命共同体になってしまったわけだ。 かっこいい言い方をすれば、だんだんと夢がかたちになりはじめた時期のことである。 ミニFMの男には、鎌倉に交際している女性がいて、彼女の案内で鎌倉小町や古刹、鎌倉の切り通し、そしてときには、長者ヶ崎や葉山の海岸、逗子と近辺の海にまで足を伸ばしたのである。冒頭のお嫁さんになりたい彼女とは、この鎌倉の女性のことだ。 彼女には、画家の兄と大学生の弟がいて、父親は弁護士をしていた。ボクたちは、彼女が、みんなの前で見せつけるようにケンカばかりしていたが、ミニFMの男と結婚するものとばかり思っていた。 その頃のボクはと言えば、その百貨店の出してくれていたお金のおかげで、自分のつくりたい映像をつくることができ、いろんなコンテストやフェスティバルで賞をもらいはじめていて、この彼女と彼女の弟とも、いっしょに一本作品をつくった。 それが、あるコンテストで特賞を受賞し、三十万円の賞金とロサンゼルスへの旅を副賞でもらうことになった。賞金は彼女たちに差し上げ、ボクはロス旅行をいただき、その年も押し迫ったころロスに向かったのだった。 翌年のロスから帰りの空港で、ボクは昭和天皇崩御のニュースを知った。 渚ホテルは、その年ひっそりとその歴史の幕を閉じた。 ボクは、翌年その会社を辞めた。そのとき、お嫁さんになりたい彼女から励ましの電話をもらった。「やっぱ、あの人はしょうがないのよ」電話口の彼女はぽつんとつぶやいた。 そして数年たったころ、お嫁さんになりたかった彼女は、別の弁護士の男性と結婚したと風の噂にきいた。 (『砂に消えた涙』 作詩:A.Testa・P.Soffici・漣健司 作曲:A.Testa・P.Soffici)
by tsukimoto_natsumi
| 2007-02-08 00:21
| ホテル・旅館
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Comments(3)
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