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2005年 08月 03日
日曜やっと村上龍の「半島を出よ」を読み終わった。
思った以上に時間がかかった。ずっとこのところこころに突き刺さっている小骨のようなものさえなかったら、もっと早く読み終わり、もっとその感動をあらわにしていただろう。 現在から6年後の考えられなくもない未来予想図として描かれたこの物語は、村上龍の90年代からずっと続けて来たこの国の経済や社会に対するさまざまなアプローチ、家族とりわけ子どもたちへの思いからうまれた絵本や著作を、凝縮させた上下巻からなる900頁を越す小説になった。 その終わりには、かつて彼の小説の中に必ず持っていた情熱や苛立ちが、ほとばしった後に残す、どこか嚥下できずいる苦々しい痛みのようなものはすでにない。 そうした終末は、ここ数年村上龍の中で意図して行われたことのように思われる。福岡に上陸する北朝鮮反乱軍を名乗るコマンド部隊や、それを引き継いで現れる高麗遠征軍の兵士たちの誰もが、凛として忠実に言動する軍人として描かれ、占拠された福岡市民でさえ納得させてしまうような高潔な魂の持ち主として上巻において描かれる。 このような事態を招いた社会全体は、見かけは現在と変わらないが、さらに政治的・経済的状況が悪化し、その悪弊が国家の存在を困難にしている。政治家や役人たちは腐敗し、それを苦慮する大人たちも何もすることができない。街の公園には浮浪者が、難民のように溢れだしている。 そうした中で育った子どもたちには、学校や社会に溶け込めず凶暴な事件を起こしたり、自己閉息をネット上に解放し、それを利用した犯罪や奇怪なコレクションに走る子どもたちの姿は、現在そのものとも言えるかもしれない。 行き場を失ったそんな子どもたちの何人かが、偶発的に廃屋になったアパートに集まって暮らしている。そこは、共同生活を見失った者たちのすみかとして、まずは描かれる。リーダーらしき詩人の男が存在し、そこに住むには、彼の許可が必要だが、みんな それぞれが、そこにいやすいからいるだけ、という設定である。 その子どもたちの様子が、占拠でにわかに急変する。 彼らが、北朝鮮反乱軍を名乗る兵士たちの占拠で、活動基地となった巨大ホテルの倒壊を目論む物語は、下巻からあえて唐突にはじまる。 上巻では、おもに規則正しい北朝鮮兵士たちの上陸にいたる過程とその後の行動、それとあまりに裏腹な何もなす術がない政府の混乱と動揺ぶりに主軸がおかれる。 やはり、村上龍はこの国の現在に絶望している。 しかし、その解決の糸口の発見に、彼はここ数年の時間を費やしてきたのだと思う。 たとえば『あの金で何が買えたか バブル・ファンタジー』『希望の国のエクソダス』や 『13歳のハローワーク』と子どもたちの未来を考えた本をつくることに。 下巻からは、これまでの作品を受ける形で、たった10名程の子どもたちの行動の模様に移る。ホテルに忍び込み、それぞれの専門分野を活かしながら、ともに行動をとる中で、彼らは見失った自分の存在と目的意識にじょじょに目覚めて行く。 だが、じき侵入に気付いたコリョと凄惨な戦いの末、ほとんどの仲間は死んでゆくが、目的は実現される。 膨大な下調べの成果が、このたった一日で成し遂げられた「奇跡」の話を厳密・厳格なものにしている。 また、この物語の細部を彩る女性たちの登場も忘れがたい。メディアへの窓口となる 北朝鮮兵を、不安にたえかねながらも、街裏の餃子店に連れ出し、どうか市民を助けて欲しいと土下座をする福岡局の女性アナウンサー。 ひとりで子育てに身を費やしながらもコリョ基地に出向を命じられる市の女性職員。彼女たちは、この異常事態にさまざまに卑しく汚い行動にでる男たちとは逆に、気高く自分のこころに忠実な持ち主として行動する。それは高麗遠征軍の女性兵士についても同じである。 たぶん、後日談も含め、この小説の大きなかなめになっているのが、じつはこの女性たちの存在だと思う。 読後、ロン・ハワード監督の「スプラッシュ」を劇場で観て以来久しぶりにDVDで見る。このような映画を、たとえそれが褒め言葉だとしてもB級映画呼ばわりしていいものなのか?mixiの映画関係のコミュを見て少し憤る。
by tsukimoto_natsumi
| 2005-08-03 11:20
| 本
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