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2014年 03月 01日
まど・みちおさんがお亡くなりになった。
104歳というから大往生も大往生。 記憶が何十年も前、小学校低学年のころに遡る。 NHKの「みんなのうた」で弘田三枝子が歌っていた「ドロップスの歌」が大好きだった。 たぶん白黒テレビで見ていたんではないかと思うが、頭の中では「神様の涙」真っ赤なドロップや黄色いドロップが空からこぼれ落ちるカラフルな映像が鮮やかによみがえる。 NHK「みんなのうた」のサイトには、初回放送月:1963年10月-11月 うた:弘田三枝子 作詞:まどみちお 作曲:大中恩 アニメーション:中原収一 とある。 「ドロップスの歌」 むかし 泣き虫かみさまが 朝やけ見て 泣いて 夕やけ見て 泣いて 真っ赤な涙が ポロン ポロン 黄色い涙が ポロン ポロン それが世界中に 散らばって 今では ドロップス 子どもがなめます ペロン ペロン おとながなめます ペロン ペロン もちろんこの時、まど・みちおの名前を知っていたわけではない。 まど・みちおの名前を知ったのは、それからずっと後のことだ。 その辺の事情を1999年に書き、その文章をそのまま2004年のブログに転載した。 以下にもう一度掲載する。 ☆ 「詩人 まど・みちおの世界」 とりあえず誤解を怖れずに言ってしまえば、まど・みちおの詩はポップだ。 わたしが子どもの頃に大好きだった歌のひとつに「ドロップスの歌」というのがある。 ドロップスって神様の涙だったんだというユニークな解釈もさることながら、その「真っ赤」や「黄色」の涙のドロップスがぽろん、ぽろんと世界中に散らばっていくというカラフルで奇想な世界。これは、確かな記憶ではないが、それをNHKの番組でみて(みんなのうた?)いっぺんで気に入ってしまったんだと思う。資料によると、この曲の初出は1963年・NHK、唄:弘田三枝子!とあるから、ひょっとしたら、わたしの記憶もまんざら間違っていないかもしれない。 それから、30年以上もたって、なんの縁かNHKの「すくすく赤ちゃん」「すくすくネットワーク」という育児の番組のオープニングタイトルをつくらせていただいている。そんなおり、「すくすくネットワーク」のタイトルに使用する曲の打ち合わせで、わたしが「ドロップスのうた」の話しをしたら、その作詞者が「まど・みちお」という人物でありほかにも多くの「まど・みちお」作詞の童謡があることをNHKの方から教わった。はずかしながら、初めて聞く名前だった。興味をもって、いろいろ調べてみると、まど・みちおさんのいろんな作品が出てくる。 「あっ、この曲もそうだったんだ!」そんな思いで、わたしの「まど・みちお」発見は始まった。 「やぎさんゆうびん」「ふしぎなぽけっと」「ぞうさん」どれも童謡にかわりはないが、童謡と一言でかたずけてしまうには、あまりにも惜しい、わたしに言わせれば、とてもすばらしくポップで、すぐにでも映像が次から次へと頭の中に浮かんでくる詩の世界だった。 普段は童謡にさほど関心のあるわたしではないが、童謡を専門で歌われる方以外にもいろんなシンガーがまどさんの歌をとりあげているのには驚きだった。 矢野顕子(アルバム「ごはんができたよ」に「げんこつやまのたぬきさん」をアレンジした「げんこつやまのおにぎりさん」が収録)、「帰ってきたヨッパライ」というナンセンス・ソングで大ヒットを飛ばした北山修や加藤和彦のいた伝説のフォークトリオ、フォーク・クルセイダース、そして太田裕美(アルバム「どんじゃらほい」に「ぞうさん」「 不思議なポケット」が収録)。 そのなかでも、当時わたしが彼らの詩の世界を「ルイス・キャロル」的なものとして評価していたフォーク・クルセイダースが、「紀元弐千年」というアルバムの中で「やぎさんゆうびん」を歌っていたことは、ことさらうれしい事実だった。しかも、わたしはこのアルバムを持っていた。 番組が今年「すくすく赤ちゃん」から「すくすくネットワーク」に代わる間に、わたしも一児の父親となり、より親密に育児という課題に関心を持つようになっていた。それで気になったのが子どもに聴かせる歌のことである。自分のノスタルジーに「まど・みちお」の世界を重ねるのではない。まど・みちおの歌は、いまでもけっして古くはない。 いや、まど・みちおの歌は、つねに新しいポップな普遍性とやさしさを持っている。「まど・みちお」という詩人を知ってしまった今、もう一度まどさんの世界を映像にしてみたいという気持ちになった。まどさんの歌を、いまの映像表現で表してみたいという強い気持ちになった。 1999年 7月20日 ☆ たぶん、これはまど・みちおの作品を当時わたしがやっていた会社でアニメーションとして制作したくて書いた企画書の「はじめに」という序文の部分だと思う。 太田裕美の歌う「ぞうさん」と、フォーク・クルセイダースの「やぎさんゆうびん」はわたしの企画で勝手にうちのスタッフの手によってアニメ化されたが、それはどこの番組でも流れることもなかった。企画は半ば実現し、半ば実現しなかった。 いちばん好きな「ドロップスの歌」を映像化しなかったのは、これまた大好きな弘田三枝子の音源が見つからなかったからだと、いま思い出した。 ☆ 3月1日版 讀賣新聞より
by Tsukimoto_Natsumi
| 2014-03-01 00:22
| Music
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