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2012年 04月 13日
02月24日(金)
映画監督「匠の技」東宝編 鈴木英夫 堀川弘道 『花の慕情』(原作:吉屋信子 音楽:芥川也寸志 出演:司葉子、宝田明、浦辺粂子 1958・東宝)『旅愁の都』(音楽:池野成 出演:宝田明、星由里子、浜美枝、淡路恵子 1962・東宝)@新文芸坐 『花の慕情』 「梢さん」道で出会った宝田明が司葉子に小走りで近づくとき、軽くフルートが囀り、その後を弦とハープの旋律が追いかける。芥川也寸志のスコアは寄り添うように二人の恋愛の情景を煽り、盛り立てていく。マスコミの時代、愛に生きるか仕事に生きるか『その場所に女ありて』にも共通する。 『旅愁の都』 東宝の資料には「宝田、星の新コンビで描く華麗のラブ・ロマンス」と謳われているが、星由里子の暗い過去のように全編にどこか陰気なムードが漂う。沖縄で再会しドライブするハッピーエンドも宝田の歌の後、このまま車は衝突事故でも起こしそうな池野成の不安を駆りたてる音楽で終了する。 02月25日(土) 監督と女優とエロスの風景 『四季の愛欲』(監督:中平康 音楽:黛敏郎 出演:山田五十鈴、安井昌二、桂木洋子、渡辺美佐子、小高雄二 1958・日活)『でんきくらげ』(監督:増村保造 音楽:林光 出演:渥美マリ、河津祐介、根岸明美 1970・大映東京)@神保町シアター。二作共通出演:中原早苗、永井智雄、西村晃 『四季の愛欲』前年の『街燈』『誘惑』を経て、中平康の作家的創造力は乗りに乗っている。山田五十鈴のような大女優を迎えながら、中原早苗、渡辺美佐子、楠侑子といった鉄板の常連の中に置くことで一つの駒にする。淫蕩な風に揺られスィングしシャッフルする複数のストーリー。語り口の巧さは天才的。 『でんきくらげ』 あの台詞棒読みの強固な眼差しはいったいどこに向かっているのだろうか?昇るでもない、堕ちるでもない。60年代末の安田道代、緑魔子、70年代以降の渥美マリ、関根恵子、原田美枝子、梶芽衣子、誰も増村の呪縛から逃れ得ない。唯一そこから逃れたのが、若尾文子だったとふと思ふ。 映画監督「匠の技」東宝編 鈴木英夫 堀川弘道 『彼奴を逃すな』(美術:小川一男 出演:木村功、津島恵子、志村喬 1956・東宝)『脱獄囚』(撮影:玉井正夫 出演:池部良、草笛光子、佐藤允 1957・東宝)@新文芸坐 02月26日(日) 映画監督「匠の技」東宝編 鈴木英夫 堀川弘道 『悪の階段』(美術:中古智 音楽:佐藤勝 出演:久保明、加東大介、団令子 1965・東宝)池野成の音楽がどれだけ画面に効果を与えるか注目しながら『その場所に女ありて』(出演:司葉子、宝田明、大塚道子 1962・東宝)共通出演:(爬虫類)山崎努、西村晃@新文芸坐 『その場所に女ありて』 池野成の音楽はチェンバロを基調に各シークエンスをそのヴァリアントで押し通す。ホテルで一夜をともにした司葉子と宝田明が朝、別れるときチェンバロ音楽からどんよりくぐもった音楽に変わる。タクシーに乗った宝田がその後交通事故にでもあいそうな雰囲気で二人は別れていく。 02月27日(月) 映画監督「匠の技」東宝編 鈴木英夫 堀川弘道 『不滅の熱球』(澤村榮治物語 出演:池部良、司葉子、笠智衆 1955・東宝)『黒い画集 第二話 寒流』(撮影:逢沢譲 美術:河東安英 出演:池部良、新珠三千代、平田昭彦 1961・東宝) 『黒い画集 第二話 寒流』 池袋支店長に抜擢された池部良は融資先の料亭女将、新珠三千代といい仲になっていく。が、そこに常務・平田昭彦が加わり…落ち込む。最低だ。しかしこの陰々滅々たる話にこそ鈴木英夫の腕が鈍く輝く。しかも魔が差している。新珠の淫靡なエロさに男は悶え苦しむしかない。 02月28日(火) 『こつまなんきん』(酒井辰雄監督)@神保町シアター。 歯ブラシ工場の女工から新興宗教教祖、女相場師、寄席芸人、社長夫人(?)へと男に利用されつつ利用するひとりの女の流転人生。原作者が同じだけに瑳峨三智子版『河内カルメン』でした。瑳峨のむんむんとした色気以外にこれといった見せ場なし。 02月29日(水) 『あすなろ物語』(堀川弘通監督)@新文芸坐。 少年期から大学生になるまで、自分を通り過ぎた年上の女性への淡く切ない思い出。なかでも学生、木村功と心中する不良少女、岡田茉莉子のはすっぱで純な美しさは絶品。なのに、久保明とサディスティックお嬢、久我美子の大学時代のつまらなさは何ごとか。 『日蝕の夏』(堀川弘通監督)@新文芸坐。 純情な若山セッちゃんが、あんなことを。お嬢さま司葉子も、ああそんなことを。貞淑なお母様、三宅邦子までこんなことを!マザコンのボンボン石原慎太郎は腹いせに父親の車に…。取り返しのつかないひと夏の青春。日活映画と比べるとギラギラ度が足りませぬ。 03月01日(木) 米ジャズメンもソ連人も出る外国人がどれもヘボくて嫌になる『さらばモスクワ愚連隊』。エスキモーがどれも日本人マコ岩松で妙に納得、インディアン大酋長が丹波哲郎で大爆笑の『アラスカ物語』@新文芸坐 『アラスカ物語』 かつてマコ岩松が演じるイヌイットを見たことがあるので、エスキモーを日本人俳優がやっていても、とくに違和感なし。じっさい夏八木勲や三橋京子は似合っていたりする。しかし、インディアンを日本人がやるのは、どうなのよ?『少年ケニア』(TV版)っかつーの。 『さらばモスクワ愚連隊』 元ジャズマンで今は呼び屋の加山雄三が日ソ文化交流の下調べでモスクワに行き、そこで眼にしたソ連の若者から、その場でジャズバンドを結成。だが、エリート外交官が加山のファンでクラリネット奏者だとか、ベースがソ連観光にたまたま訪れたアメリカ人だったり、いい加減w。 予告編の間は客電つけっぱなし、本編上映がはじまっても、天井どころか梁や柱も見える明るい上映環境、こういうロウキイの多い映画の上映をなんだと思ってるんだシネマサンシャイン池袋で『ドラゴン・タトゥーの女』鑑賞。 03月04日(日) まさかこんなに混雑してるとは!珍しく若い観客も多かった『雷魚 RAIGYO』(監督:瀬々敬久 出演:佐倉萌、伊藤猛 1997・国映、新東宝)@神保町シアター。川口浩と山村聰と口笛にしびれる!『闇を横切れ』(監督:増村保造 脚本:菊島隆三 1959・大映)@ラピュタ阿佐ヶ谷。 『雷魚 RAIGYO』は田中登の『人妻集団暴行致死事件』と二本立てでとも夢想するなり。 『闇を横切れ』 歯切れのよいアップテンポの推進力が魅力で、音楽は口笛だけ(!)のこの映画を観て、50年代末〜60年代初頭の増村保造と中平康の特集を夢想してしまいました。ああ、連続で観たい!! 03月06日(火) 主人公女性が彫刻モデルという映画を二本鑑賞。『盲獣』(監督:増村保造 音楽:林光 出演:緑魔子、蚊喰鳥・船越英二、千石規子 '69・大映)『恋人たちのいる時間』(監督:澤井信一郎 撮影:仙元誠三 出演:河合美智子、野村宏伸 '87・角川/東宝)@神保町シアター。 『恋人たちの時刻』 予備校生、野村宏伸は海岸でレイプされそうになっていた河合美智子を助けたことから、彼女に惹かれ、ある依頼を受ける。二人のさすらいの風景はどこか北海道版『フォロー・ミー』のような印象を受ける。角川青春映画の体をなすが、澤井信一郎の遅れてきた日活ロマンポルノだと思う。 『盲獣』 盲目で彫刻家の船越英二はマッサージ師に化け、母、千石規子とファッション・モデルの緑魔子を拉致。『白い恐怖』のダリの美術を想起させる自宅アトリエに監禁する。緑魔子が蠱惑的魅力を放つ。『怪談蚊喰鳥』同様、船越英二はまり役の怪演。『音楽』と並びいささか観念的図式的で苦手な作品。 03月07日(水) 安田道代主演作二本鑑賞。『痴人の愛』(監督:増村保造 出演:小沢昭一、田村正和、倉石功 '67・大映)『秘録おんな寺』(監督:田中徳三 撮影:牧浦地志 出演:中原早苗、しめぎしがこ、長谷川待子 '69・大映)@神保町シアター。 『痴人の愛』 はじめてこれを観た20代の頃より、ずっと楽しんで大笑いしながら観ることができた。文芸映画でエロ映画。その後、怪獣映画で、追い出したはずのナオミが夜な夜な戻ってくる恐怖映画。やがて、歯車と歯車は噛み合って夫婦善哉で終わるという天晴れ。いやはや歳はとってみるものですわい。 『秘録おんな寺』 町方に追われ逃げ込んだ尼寺で尼僧になった安田道代は、尼寺の怪しい秘密を嗅ぎ廻る。そして課せられる刑罰。と言ってもさすが大映京都、そこはエログロることなく厳格上品に魅せます。が、鏑木創の三味線シタールは怪しくビヨヨーンと響きます。これをB級と呼ぶなかれ(でもB級)。 03月10日(土) 『エデンより彼方に』(監督:トッド・ヘインズ 出演:ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド '02・米)『ストレート・トゥ・ヘル』(監督:アレックス・コックス 主演:サイ・リチャードソン、ジョー・ストラマー '87・米)@シネマヴェーラ渋谷。『エデン』のE・バーンスタイン音楽最高! 『エデンより彼方に』 タイトル題字も美術も衣裳も色彩も音楽も、サークがおもに活躍した50年代を完璧に模倣する。燃えるような紅葉が街を染め、これ以上ないと思われる映画的雪が舞い、桜の蕾がほころびるまでの季節の極上のメロドラマ。しかし、ヘインズはその中に危険な刃を忍ばせるのを忘れない。 『ストレート・トゥ・ヘル』 フィルムもだいぶ色褪せていたが、銀行強盗3人組プラスワンが、金を埋めて迷い込んだメキシコの町でのストーリーがあるか、ないかのコステロにG・ジョーンズ、デニス・ホッパー、ジャームッシュも含めたドンパチ学芸会。これもだいぶ色褪せて見えてしまった80年代かな。 03月12日(月) 女優・高峰秀子『花つみ日記』(監督:石田民三 装置:河東安英 '39・東宝)『綴方教室』(監督:山本嘉次郎 撮影:三村明 装置:松山崇 '38・東宝)『ハナコサン』(監督:マキノ正博 出演:轟夕起子、灰田勝彦 '43・東宝)@神保町シアター。土日休館だったせいか盛況でした。 『花つみ日記』 冒頭の女学生たちが列をなし、歌を唄いながらの校庭の光と影に充ちた掃除風景からもはやノックアウト。誰かが歌いはじめることで、それに誰かが呼応していき次々画面や構図をつくりあげていく見事。山麓を登る電車の中とハイキングの歌の呼応。たまらない風流ガーリー・ムービーの傑作。 『ハナコサン』 オープニングのB・バークリーそっくりの俯瞰による群舞、ついで轟夕起子唄いながらの登場人物紹介の小気味よいテンポ。なんと言ってもその後『お使いは自転車に乗って』を唄う移動撮影のすばらしさ。ハナコサンが自転車から降り芝居につなげる呼吸とタイミングのよさはマキノそのもの。国策プロパガンダ映画の体は装っているのが、そんなものも吹き飛ばす活動屋根性見え見えの愉快爽快な戦時中のミュージカル。「トントン、トンからりの隣組」など当時の戦時俗曲も随所に使われてはいるが、マキノにかかると、それが一捻りも二捻りもなされ、底抜けの明朗な笑いを誘う。 『綴方教室』綴方(作文)の授業で、先生(滝沢修)にその才能を発見された少女(高峰秀子)の一学期から三学期までの一年。高峰の瑞々しい演技もさることながら、ロケとセットを巧みに併用した細やかな撮影がいい。窓の外に光る雨滴、大雨の後の河のような路地といったディテールが映画を深く彩る。 『花つみ日記』と『ハナコサン』の間に挟まった『綴方教室』、これ観ようか観まいか迷ったが、撮影、美術ともにすばらしい傑作でびっくり。こういうので、自分は日本映画をよく知らないことが露呈してしまうのだよなあ。 03月13日(火) 本日も後ろめたさ100%で映活。テオ・アンゲロプロス追悼二本。『ユリシーズの瞳』(出演:ハーヴェイ・カイテル、マヤ・モルゲンステルン '95・仏=伊=ギリシア)『蜂の旅人』(出演:マルチェロ・マストロヤンニ '86・ギリシア=仏=伊)@新文芸坐。 『蜂の旅人』 娘の結婚式を境にマストロヤンニ一家は離散。マストロヤンニは生業の養蜂業の旅に出る途中若い娘と出会う。マストヤンニのトラックが娘が若い男といちゃつく喫茶店をぶち破るシーンで爆笑。やると思ったよ!こんなに単純でエロ満載なアンゲロプロスもあるんだね。初老の哀切度120%! 『ユリシーズの瞳』 映画作家マキナスの幻のフィルムを探して映画監督H・カイテルは旅に出る。タクシーに乗り、列車に乗り、舟に乗りサラエヴォまで。この旅をともに楽しむ愉悦。長いワンカット撮影の中で、いつの間にか時空を乗り越え別の世界に移ろう様はアンゲロプロスの自家薬籠中の映画的詐術。 03月14日(水) 「すべての僕が沸騰する. 村山知義の宇宙」@神奈川県近代美術館 葉山。 ともかく圧倒的情報量で村山の出自から大正、昭和戦前、戦後の膨大な仕事を四方八方から概観する。こちらの頭の方が観ていてくらくら沸騰しそうだ。それでも、これはまだまだTomの全貌を知ったことにならないのが怖ろしい。図録を購入しない限り、あの内容を記憶し把握するのはとても無理。また村山と映画の関係はきわめてあっさり。村山演出東宝/PCL製作の『恋愛の責任』(’36)や脚本担当、木村荘十ニ監督の『新選組』(’38)の出来映えやいかに。 村山知義のアニメーション『3びきのこぐまさん』きのうはじめて観たけど。これはすべてが超ご都合主義で進展するナンセンス・ギャグの傑作アニメでした。 03月18日(日) 「仁義なき日本沈没」(春日太一著)読了。戦後の東宝・東映に特化した「闘争」の映画史。枝葉末節に踏み込みがちなところをあえて抑え一本の望遠ズームレンズだけでダイナミックにクライマックスの「仁義なき戦い」「日本沈没」誕生と「その後」のエンディングを目がけ駆け抜ける疾走感が気持ちよい。 03月19日(月) 四番町で差し替え作業を終えて、「女優・高峰秀子」成瀬巳喜男監督作品、二本鑑賞。『流れる』(出演:山田五十鈴、田中絹代、岡田茉莉子、杉村春子、栗島すみ子 '56・東宝)『あらくれ』(美術:河東安英 出演:上原謙、森雅之、加東大介 '57・東宝)@神保町シアター。 『流れる』 柳橋の芸者置屋を舞台に、中心に零落する風情がなんとも言えぬ山田五十鈴をどっかりと据え、まあよくぞ揃えた感の田中絹代、杉村春子、高峰秀子、岡田茉莉子、栗島すみ子たち大女優が出たり入ったり、適材適所の大盤振舞。それを成瀬がしれっと演出。ポン子もみごとな牝ネコ演技を披露する! 『あらくれ』 流浪の男遍歴を勝ち気で生き抜く高峰秀子のブスメイクのすごさ。山になった眉毛、唇をつねにへの字に結び、ときにそれを尖らせながら、男たちへの不満たらたら、取っ組み合いの大げんか。渋めで玄人好みの中古智の美術と異なり、河東安英は美麗な大正美術を現出、これはこれですばらしい。高峰秀子の喧嘩好きの勝ち気な女の系譜は、その後の『放浪記』につながる気がするが、ちょっと苦手なあの映画ほど嫌みになっていないのがいい。上原謙、森雅之、加東大介がそれぞれにいやらしいダメ男ぶりを好演。洋裁屋の仲代達矢ら、それぞれの店員ぶりもいい。大村千吉さんもいました! 03月20日(火) おっさんはおっさんらしく『明治侠客伝 三代目襲名』(監督:加藤泰 出演:鶴田浩二、藤純子、藤山寛美 '65・東映)『やさぐれ刑事』(監督:渡辺祐介 出演:原田芳雄、大谷直子、高橋悦史 '76・松竹)@浅草名画座ですたい。 03月21日(水) きょうは木村威夫さんの三回忌だったので『黄金花-秘すれば花、死すれば蝶-』(監督:木村威夫 出演:原田芳雄、松坂慶子、松原智恵子、野呂圭介 '09・太秦)『花と怒濤』(監督:鈴木清順 撮影:永塚一栄 出演:小林旭、川地民夫、玉川伊佐男 '64・日活)@新文芸坐。 03月25日(日) 『喜劇 とんかつ一代』(監督:川島雄三 出演:森繁久弥、淡島千景、フランキー堺、加東大介、三木のり平 '63・東京映画/東宝)@ラピュタ阿佐ヶ谷。午後1時の回を鑑賞。補助席どころか床に座り観もでる盛況ぶり。満員の映画館でわいわいげらげら、こういう楽しい喜劇を観るのはいいものです。 『喜劇 とんかつ一代』 すてきで不思議な音響機器がふたつ登場する。ひとつは団令子が操るオープンリールのポータブル録音機。もうひとつは、青龍軒のソノシートを再生するプレイヤー。これがなんと、ソノシートの上にどんと置き、トーンアームが出て、それが回転しながら音を出すのだ!タイアップ? こんなに(団令子と)チューチュー、キスばかりしているフランキー、初めて観たわ。 03月27日(火) 仕事の合間に『女性操縦法』(監督:島耕二 美術:下河原友雄 出演:森雅之、高峰秀子、清川玉枝、江川宇礼雄、斎藤達雄 '49・新東宝)@神保町シアターを観る。いかにも島耕二らしいぬるいハイカラモダン・センス。短縮版ゆえに大筋はわかるものの、なぜ、最後に突然こうなるのか訳わからぬ。 03月29日(木) お日柄もよろしいようで、二回目は満員御礼だった『三百六十五夜(総集篇)』(監督:市川崑 製作:児井英男 出演:上原謙、高峰秀子、山根寿子 '48・新東宝)『朝の波紋』(監督:五所平之助 出演:高峰秀子、池部良、香川京子、岡田英次、上原謙 '52・スタヂオ8プロ)@神保町シアター。 『三百六十五夜(総集篇)』 まるでエイゼンシュテインが日本で訳もわからず、モンタージュを駆使して撮り上げてしまったかのような怒濤のへんてこ歌謡メロドラマ。実験的かつ凝った撮影・編集、マンガのようにデフォルメ化された登場人物など、その後の市川崑を大いに予感させる。文句なしで笑える。 『朝の波紋』 高峰秀子は英語堪能の小さな商事会社に勤めるバリバリのキャリア・ウーマン。高峰のきびきびした仕事ぶり、ライバル商事会社の池部良とのほのぼのとした恋愛が楽しい。なにより高峰の家のある落合界隈、池部の住む森に囲まれたお化け屋敷のような洋館、浅草界隈など戦後東京の風景がいい。 03月30日(金) 試写会で『アーティスト』@読売ホールを観る。 時は1927年、絶頂の人気を謳歌する無声映画男優・ヴァレンティンはプレミアで賑わう劇場の前で女優の卵、ペピーと知り合う。そして29年、時代はサイレントからトーキーへと向かうなかで…厳密に言えば、サイレント映画ではない。でも、そこがいい。 撮影所で偶然再会したヴァレンティンとペピー。ヴァレンティンの楽屋に忍び込んだペピーは、吊られた彼のコートにそっと手を通し彼に抱かれる真似をする。それを眼にしたヴァレンティンは、女優には特徴が必要なんだと彼女の唇の上にほくろを描き足す。恋愛の灯がともるいかにもサイレント映画的劇的なシーン。 トーキーの波に乗りきれず自主プロデュース・主演のサイレント大作で大失敗するヴァレンティン。片やトーキーの波に乗ったペピーはチャーミングに輝けば輝くほど、ふたりの恋愛は切ないものになっていく。私たちはどきどき胸をときめかせながら、そっとその成り行きを見守るしかない。 サイレントからトーキーそしてミュージカルへ。同じ映画愛に溢れた作品なら、『ヒューゴの不思議な発明』より、(ノスタルジックでいながら現在の視点も兼ね備えた)砂糖菓子のように甘いこのラブ・ストーリーの方が好きかもしれません。でも、それは星のようなあまりの儚さゆえかも。
by Tsukimoto_Natsumi
| 2012-04-13 09:35
| 映画
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