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2016年 03月 11日
2010年の12月にそれまでいた会社が倒産した。
2011年、1月くらいから、残党たちが移籍した渋谷の会社に間借りして、私はある韓流スターのDVDを作っていた。 3月11日は、そのDVD制作もぼちぼち終わりに近づいていた。いっしょに、その渋谷の事務所に間借りしたプロデューサーのOはドラマの撮影の初日だった。 午後2時40分過ぎに地震が起きた。机の上のパソコンとハードディスクが倒れないように、必死で机を支えた。 揺れがおさまり、みんなで外に出ると、まだ東邦生命ビルがゆさゆさと大きく揺れていた。ツイッターとradikoから情報を得ながら、深夜にはやっと動きはじめた地下鉄でなんとか家に帰ることはできた。 DVDの納期は地震のおかげで、ひと月ほど延びたが、その分ギャラが増えるわけではなかった。 それから、いっこうに仕事がなくなった。電車のなかで、しょっちゅう溜息をついていたら、近くの乗客から「あなた、ずっと溜息ついてますが、なにか病気ですか?」と嫌そうに言われた。 ヒマばかりだったので、映画をまた観るようになった。 震災の年から、ボクの名画座通いがはじまった。 #
by Tsukimoto_Natsumi
| 2016-03-11 07:36
| 日記or備忘録
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2014年 08月 30日
だいたい追悼というのが好きではない。
なぜかというと、語るのがその人のことではなく、結局自分のことになってしまうからだ。 曽根中生監督に関しても然り。まったくお会いしたこともないし(いやご本人は日活撮影所で見たことはある)、全監督作品の半分も観たことはない。 おととしユーロスペースで開催された「生きつづけるロマンポルノ」で、やっと願望だった『わたしのSEX白書 絶頂度』を観ても、ちょっとピンと来なかった。 ちょっと、ツイッターでつぶやいた曽根中生関連のことを書き出して、曽根監督の思い出としたい。 2010年1月17日(日) シネマヴェーラ渋谷「消えゆく曽根中生!?」フィルムセンター「監督 大島渚」早稲田松竹「チョコレート・ファイター」109シネマズ川崎(一応I MAX)「アバター」どうしようか? (これは結局出かけませんでした。その時はまだ名画座通いしていなかったのです) 2011年6月08日(水) 昨日、新橋の中古屋で見かけたDVD「女高生100人 (秘)モーテル白書」 (監督:曽根中生・出演:岡本麗・1975年)相米慎二が杉田二郎名義で脚本に参加している。値段、7980円。買えるわけがない! (この頃は、震災後名画座通いを開始して間もない。新鮮な気持ちで旧作日本映画を観ていた頃ですね) 2011年8月03日(水) これまでエキストラで出たたった二本の映画のうち、一本は曽根中生の映画『嗚呼!!花の応援団 役者やのォー』 #どうでもいい個人情報を晒そう (ブログに書いた通りです) 2011年08月29日(月) 曽根中生には「生きてゐる小平次」をつくってほしいと、ふと思ふ。 2011年9月11日(日) 図書館で今回のシネマヴェーラの特集上映の参考にと『遊撃の美学 映画監督中島貞夫』、曽根中生、藤田敏八などのインタビューが読みたくて『シネマドランカー 荒野を走る監督たち』(梅林敏彦)を借りる。 (この本で曽根監督はこどもの頃、科学者になりたかったと語っています。なんか実現しましたね) 2012年2月2日(木) 曽根中生、やっぱパンクな映画監督だな… 2012年5月13日(日) 大学時代のバイト仲間の友人メイコさんはいろんなバイトを紹介してくれた。高円寺の古書店の店員、映画のエキストラ。それで行ったのが日活撮影所、曽根中生の『嗚呼!!花の応援団 役者やのォー 』片桐夕子のストリップ劇場シーンの観客。曽根監督に言われ、いちばん奥でこっそり佇む客になった。 2012年5月13日(日) 曽根中生監督『白昼の女狩り』@ユーロスペース。休憩BGMを流したまま上映開始。「こりゃないわな」と思っていたら、すぐに上映中止。頭から再上映のアクシデント。よっぽど金がなかったのか困っていたのか役者陣のひどさはいかんともしがたい。照明、美術なども同様。苦笑いするしかない。 (お蔵入りした理由がよくわかる映画でした) 2012年5月14日(月) 目の前に餌をつき出されるとほんと弱い。(今回の「生きつづけるロマンポルノ」の話)思い起こせば、はじめて日活ロマンポルノを観たのは高校の時。授業をさぼって浜松日活まで出かけた。初めてのロマンポルノは『昭和おんなみち 裸性門』(ほか二本は忘れた)これ、曽根中生の監督作品だったのね。 2012年10月20日(土) 曽根中生『天使のはらわた 赤い教室』@銀座シネパトス。以前観たのはたしか飯田橋佳作座でしたから、じつに三十三年ぶりの再見になります。はじめて女友だちをロマンポルノに誘った映画です。その女友だちがその後のわたしの妻です。と言いたいところですが十年前に離婚してしまいました。もう十年。 2013年6月17日(月) 曽根中生『性談 牡丹燈籠』@フィルムセンター。中空に舞う唐傘、するすると解かれる帯に真俯瞰からの情交場面など、曽根中生らしいカットは散見されるが、それ以外は怪談の意匠をまとった小川節子が初々しく瑞々しい純恋愛映画。俗と欲にまみれた現世で小判を呑んだ妻の喉を掻き切る木夏衛がいい味。 去年もこんなことについて少しつぶやきましたが、省略します。 ご冥福をお祈りいたします。 #
by Tsukimoto_Natsumi
| 2014-08-30 13:25
| 映画
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2014年 08月 15日
八月十五日。
きょうはすっきり眠ることができた。 ふだんだったら、夜中の2時、3時に目を覚まし、それから2・3時間、ラジオを聴きながら悶々とする。今朝はそれがなかった。 7時少し前に起きて、Facebookからフィルムセンター・岡田秀則さんのジャック・ドゥミ展の投稿に目を通す。 フィルムセンター「ジャック・ドゥミ 映画/音楽の魅惑」展の出品リスト詳細がでました。 日本での展示、独自のものとしては濱田高志氏所蔵のポスター、レコードをはじめとしたさまざまなコレクションが出品されているところでしょうか。 それから、しばらく戦争画のことを思う。 何年か前だろうか、とんぼの本「画家たちの『戦争』」(神坂次郎・河田明久・丹尾安典・福富 太郎 著 新潮社・2010年)を読んだからだ。 藤田嗣治、宮本三郎といった大家以外に「天覧を拒絶された戦争画」での小早川秋聲の作品、御厨純一、石川寅治などの絵を紹介する「輝ける翼、勇まし空中戦」といった頁を設けることで、「戦争画」とはなんだったのかをもう一度問う。東京国立近代美術館に藤田嗣治の「アッツ島玉砕の図」が展示されているか電話で訊ねてみた。「今その絵は展示されていない」とのこと。この日に、なんかおバカだなあという気がする。(2010年8月15日のブログ) 戦争画は戦後アメリカ軍が接収しその後日本に対して「無期限貸与」という形で返還され、現在国立近代美術館がそれらを所蔵している。 藤田嗣治「アッツ島玉砕」を見たくて近美に何年か前の今ごろ電話したら展示されてないとの返事。今年はどうだろうか。 それから、ヒゲを剃っていると父親から電話があった。 ヒゲ剃り中だったので出ることができず、留守電には「ひさ子が亡くなった」と残っている。バス停で父に電話をした。父の妹、わたしの叔母が昨夜亡くなったということ。 目的地の駅に着くと、富岡八幡宮例大祭の準備のさなか。 終戦記念日、叔母の訃報、祭りの準備、そしていつかみた青空。 今年もこの日ばかりは暑く青空が広がる。 それが、「いつか見た青空」だったったと、毎年、毎年そのようにおもうのである。 日本のいちばん長いの日の朝のできごと。 #
by Tsukimoto_Natsumi
| 2014-08-15 23:01
| 日記or備忘録
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2014年 03月 15日
先週、土曜日から新文芸坐では「有馬稲子と十八人の監督たち」が、シネマヴェーラ渋谷では「日本のオジサマ 山村聰の世界」がはじまった。
その他、ラピュタ阿佐ヶ谷では「AVANTGARDE百花繚乱 挑発:ATGの時代」、フィルムセンターでは「よみがえる日本映画vol.7[松竹篇]」、神保町シアターでは「ゴジラ映画総進撃」、早稲田松竹では「相米慎二特集」と、春もまだというのに日本映画特集が百花繚乱状態。旧作日本映画ファンには目の眩むような日々。 この「有馬稲子と十八人の監督たち」のチラシの内ページをを見ていただきたい。 あまりにすばらし過ぎて日々通いたくもなろうというものだ。ところが、平日には映画が観られず、休日のみを映画鑑賞に充てているわたしにとっては悔しい日々になってしまっている。名画座であらためて千葉泰樹や中村登の映画のすばらしさを発見したわたしのようなファンにとっては、彼らの映画がほぼ平日上映になってしまっているのが、なんとも悔しい。 ☆ そんな先週、土日のことを書いておこう。 3月8日、土曜日。午前中には家を出てラピュタ阿佐ヶ谷に向かう。 中平康の『現代っ子』(1963年 日活作品)を観る。中平康の映画は見逃している作品も多く、名画座でかかるたび必ず観るようにしている。楽しめた。巡査の父親の交通事故死によって、たくましく生きることになる三兄妹を描く。うじうじ、ジメジメしそうな描写をさっさと切り上げ、小気味よく描く様がいかにも中平らしい。こういう中平が好きだ。倉本聡シナリオのいささか説教臭いエンディングも映像と音楽のコラージュでテンポよく終わらせるのもいい。 『現代っ子』主演俳優鈴木ヤスシさんのトークを聴いた後、急いで「日本のオジサマ 山村聰の世界」のシネマヴェーラ渋谷に向かう。 ギリギリセーフで熊谷久虎監督『智恵子抄』、山村聰監督『鹿島灘の女』を観る。 フィルムはきれいだったが『智恵子抄』ピンとこない。もともと原節子がそんな好きではないのでなおさら。幕間に一階に下りてタバコを吸って、席に戻ったら、通路をはさんだ隣席にゆかぞうさんが座っておられて、軽くご挨拶。ゆかぞうさんとは、この前、鈴木並木さんのお宅でお会いしたばかり。わたしが、ふたたび名画座で映画を観るようになったのは、半分くらい彼女のおかげなのだが、このことはそのうち書くことにしよう。(このことを言うと、またその話ですかと、彼女は呆れるのだが。) 映画を終えて、とんとんさんのお招きで渋谷川沿いにある居酒屋ニュー信州に。 ここの日本酒の品揃えがすばらしいというかすごい。そして料理もすこぶるうまい。 最初は、ほとんど新潟でしか販売していない「鶴の友」をやっていたが、そのうちホッタさんが来る、めめこ(敬称略)が来る、籠さんが来るで、飲みはヒートアップ。珍しい越乃寒梅の焼酎、そして酸味が強くフルーティでいくらでも飲める「醸し人 久平次」が命取りになった。めめこは駅への歩道橋の下で顔面からすっ転び、わたしは終電を逃した。渋谷から自宅までタクシー代6700円。本当に痛かった。 ☆ 翌日の3月9日、またぞろ渋谷へ。シネマヴェーラ渋谷で山本薩夫監督『傷だらけの山河』、佐伯幸三監督『夜の配役』を観る。『傷だらけの山河』は以前、新文芸坐の「若尾文子特集」で観たので二度目。音楽で言えば音圧のある映画。『夜の配役』はミステリー仕立てだが、ぬるくてつまらない。 その後、渋谷の焼鳥屋・鳥良に。80年代の仕事仲間タマと二十五年ぶりに逢う。彼女とは、勤めていたシネマ・プレセットが倒産し、その頃お世話になっていた本木昭子さんの紹介で入った赤坂の制作会社で出会った。一度だけ、彼女の運転するセリカで横浜までデートに行ったことを覚えている。そのとき、さんざん道に迷い、けっきょく中華街かどこかで食事をして帰っただけだった。一年半くらいで、わたしはその会社を辞めてしまい、彼女もじき別の会社に移った。それから彼女が結婚したというのを風の噂で聞いたが、それきりだった。ところが、東京で二度目の雪が降った朝、なにげなくfacebookの受信箱のその他を開けると、昨年の六月彼女からのダイレクトメッセージが届いていて、半年遅れになるが彼女にメッセージを送り会うことになった。(80年代の知己たちとは、このように最近ではSMSを通じてふたたび出会うことが多いです) 大学生になった娘さんがいるというのに、タマは80年代のまま美しい女性でした。 まあ、これ以上は言わぬが花ということで… #
by Tsukimoto_Natsumi
| 2014-03-15 00:01
| 映画
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2014年 03月 06日
映画がはじまる瞬間というのは、いくつになってもワクワクするものだ。
幕が左右に開き、暗闇のなかで映写機が廻りはじめる。 都内にある名画座のなかで、この瞬間がもっとも好きなのがラピュタ阿佐ヶ谷だ。ここの映画館の場合、客電が落ちて幕が開くと数秒間暗闇になり、それからフィルムが廻りはじめ、チリチリとしたフィルムノイズが一瞬入り映画会社のロゴマークがスクリーンに映し出される。上映のはじめ方は各名画座でいろいろな特徴があって、たとえば新文芸坐ように幕が全部開ききらないうちに上映がはじまる館もある。ラピュタ阿佐ヶ谷の上映前のほんの数秒間の真っ暗闇は、胸を高鳴らせ「さあ、これから映画を観るぞ」という気構えをつくってくれているような気がする。 またラピュタの場合、映画館スタッフが上映前に映画の前口上を述べてくれるのも意外と気に入っている。「これからご覧いただく映画は19○○年、○○監督『○○』(作品名)です」と、上映中の注意とともにちょっと緊張気味に行う口上は、けっして立て板に水ではないが、わたしはいつもしっかりと聴いている。 というのも、昔から知っているはずの監督名もこちらがうっかり読み間違えていたりすることもあるからだ。以前、ここで「井上梅次特集」をやったとき、この口上のおかげで、井上梅次は「うめじ」ではなく「うめつぐ」と読むのだとはじめて知ったのだった。(お恥ずかしい) というわけで、今回はラピュタ阿佐ヶ谷の話。 3月2日の日曜日、午前中に家を出て、ラピュタ阿佐ヶ谷で五本の映画を観た。 ラピュタは家からいちばん遠い名画座なので、最近では休日の一日をここで過ごしてしまうことが多い。ほかの名画座と比べて一階全面がロビーにあててあるので居心地がいいというのもある。 ☆ この日の一本目は木下亮監督『男嫌い』(1964年 東宝作品)。 先日亡くなった淡路恵子の主演作で、昨年の船堀映画祭で見逃し、以前からずっと観たかった映画。 一時間前には映画館に着いた。ロビーはまだひと気がない。ところが受付でチケットを求めると、すでに58番。補助席でご覧いただくことになりますと言われる。ラピュタ阿佐ヶ谷は48席しかない小さな名画座。この日は映画の主演女優のひとり横山通乃(われわれ世代には横山道代)さんのトークがあるからだ。名画座では整理番号順チケットを早々に買って開場時間に映画館に訪れるという常連さんも多い。 チケットを買って、駅前のコンビニに行きホットコーヒーを買って戻ると、ロビーはすでに入場を待つ人で溢れていた。映画は通路に敷かれた座布団に座って観ることになった。 『男嫌い』 美麗なニュープリントだった。越路吹雪、岸田今日子、淡路恵子、横山道代、四姉妹のお見合い騒動。凝りに凝ったカラフルでグラフィカルな色彩・画面設計。演劇的なセット空間と台詞廻し。その後の森田芳光を思わせる大胆奇抜なカット割り。監督の先鋭的意欲がうかがえる。が、それらギミックのでせいで台詞やストーリーが全く頭に入らず欠伸を噛み殺しながら観た。 横山道代さんのお話は、昨年下北沢の本屋B&B「背のびしてミューズの蹠(あしうら)をくすぐらん 没後50年~川島雄三監督を語りつくす夕べ」で聴いているので、まあいいかと思いトーク前に席を退ってしまった。 ☆ それから、近くの中華料理屋でラーメンを急いで食し、ふたたびラピュタへ。 二本目は、若杉光夫監督『“七人の刑事” 終着駅の女』(1965年 日活作品)。 この映画は、昨年正月ポレポレ東中野「駅と映画」特集で観て以来。 『“七人の刑事” 終着駅の女』 傑作。上野駅構内で身元不明の女の刺殺死体が見つかり台東署に特捜本部が置かれる。冒頭の暗い死体安置室に担がれていく担架と巨大な上野駅の人で溢れる雑踏をカットバックするタイトルバックから見事だ。構内や周辺を掻き分け、縫うように歩き走り捜査と聞き込みをする刑事たちの姿を捉える粗いモノクロームのドキュメンタリータッチの映像もすばらしい。 しかしながら、映画の主役は呪詛のような暗く重いささやきを発する上野駅に集う雑踏の中の人々とまさに東北からの窓口上野駅そのもの。天田俊明と就職上京の少女との出会い、しがない連れ込み宿で働く笹森礼子のエピソードが沁みる。おなじみのハミングのテーマ曲や劇伴をいっさい排し、汽車の響き、構内アナウンス、雑踏の人々のつぶやきなどの音響と緻密な整音が圧倒的な効果を上げている。 今回改めて観て、冒頭で振られた女性死体を巡って訪れる人々のさまざまなエピソードが、最後にはきちんと回収されるのもいいと思った。 映画が終わり外の喫煙所でタバコを吸っていると、同じくこの映画を観ていた上馬場さんがやってきたので、「よかったですね」「すばらしかった」とそれぞれ映画の感想を述べあう。上馬場さんとは以前フィルムセンターで『才女気質』のとき、お会いしたことがあったが、名画座で会うのはこれがはじめてではないだろうか。 ☆ 三本目は、前田陽一監督『スチャラカ社員』(1966年 松竹作品)。 これは何年か前シネマヴェーラ渋谷でやった「前田陽一の世界」のとき上映されたが見逃していた。画像はそのときのヴェーラのチラシ。『スチャラカ社員』の写真が使われている(左から ルーキー新一、中田ラケット、新藤恵美、長門勇、中田ダイマル、藤岡弘)が、映画にこのような場面はない。たぶん宣伝用写真だろう。 もちろん新藤恵美も藤岡弘もテレビ版には登場しない。 『スチャラカ社員』 人気テレビ番組をみごと前田流の諧謔精神溢れるスラップスティック喜劇に換骨奪胎。大阪が独立国宣言、そのためクーデター勃発と思いきやそれは映画の撮影だったとか、宮川左近ショウの演奏をバックにナポリタン投げ合い戦争とかデタラメ過ぎて楽しすぎる。 ☆ 四本目は、森川時久監督『若者の旗』(1970年 松竹・俳優座映画放送作品)。 当初はこの映画だけは飛ばし、その時間をお茶と読書で潰す予定でいたが、流れにつられて観てしまった。『若者たち』三部作の完結編。『若者たち』はフジテレビで人気を博した作品で、うちの田舎ではフジテレビの系列局がなかったので、電波状況は悪いがなんとか見られる隣の愛知県、東海テレビでときどき見ていた。 『若者の旗』 面白かった。撮影、構図、編集などがっちりした映画のお手本のような作品だった。(撮影監督:宮島義勇)なにしろ佐藤オリエが清純でかわいくてたまらない。二作目の『若者はゆく -続若者たち-』を観ないでいたら、山本圭は早稲田大学生から昼は出版社勤務、夜は定時制教師に、松山省二は自動車セールス会社のモーレツサラリーマンに、橋本功は夏圭子と結婚して子どもが産まれ、佐藤オリエと石立鉄男の恋愛は破局寸前になっていた。田中邦衛の卓袱台ひっくり返しは不滅。兄弟のディスカッションは松山省二の成長とともにヒートアップ。俯瞰で捉えた原水爆禁止デモ行進に佐藤オリエが走り込んでくる。そしてカメラ位置が正面に変わり、佐藤オリエがデモに参加する被爆者の石立の肩にうれしそうに腕をまわす。ここで泣いた。もっとも、この場面は佐藤オリエが石立に新しい恋人ができたことを知ったときの一瞬の回想として描かれるので、二作目のシーンだったのだろう。二作目も観ておけばよかった。 ☆ 五本目は、井上和夫監督男『新・事件記者 殺意の丘』(1966年 東宝・東京映画作品)。 ラピュタ阿佐ヶ谷レイトショー特集「事件記者 BUNYA-SPIRITS」の12作目で、最終作品。 日活版10本、東京映画版2本、ここのレイト特集全作を観たのは、これがはじめて。そのくらいこの一月からずっとこの「事件記者」シリーズを毎週観るのが楽しみになっていた。とりわけ日活版「事件記者」がすばらしかった。モノクロ・シネマスコープ。50分から60分のコンパクトな時間の中でテンポよくキレのいい展開でたっぷりと楽しませてくれた。多くの(?)事件記者中毒をうむのも頷ける、というか自分もそのひとりになっていた。このシリーズ一本一本を登場記者たちやその相関図含め、ゆっくり解題したい気持ちをそそられるが、それはもっと熱烈なこのシリーズを何回も観ているファンの方に任せる方が適切か。 『新・事件記者 殺意の丘』 それほど期待もしていなかったので予想外に面白かった。まず事件記者に見えない前回『大都会の罠』の三上真一郎が姿を消したのがよい。記者たちの追いつ追われつのスクープ合戦も日活版を彷彿とさせ、いい感じ。東京日報本社で「2.26」事件をスクープしたという事件現場近くに住む老通信員・芦田伸介がとても渋い。村井博の撮影がサスペンスに息をのむような強烈な効果をうむ。ただし後半腰砕けになり、大空真弓、富田仲次郎といった前回と同じ出演者が違う役どころで被っしまったのが惜しかった。 ☆ 最後に、ラピュタ阿佐ヶ谷のチラシについても触れておかねば。ここのチラシはいつもデザインがよくてホントにすばらしくて眺めているだけでも楽しい。 次回特集は「AVANTGARDE 百花繚乱 挑発:ATGの時代」。このチラシもふだんより上質の紙が使われ、印刷に特色を使っているのだろうか、キラキラ輝いて見える。 #
by Tsukimoto_Natsumi
| 2014-03-06 01:49
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