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2009年 01月 20日
『「月光仮面」を創った男たち』(樋口尚文著、2008年・平凡社新書)
![]() 『月光仮面』は幼い頃に再放送で見た世代である。『月光仮面』の放送がはじまったのが昭和33年(1958年)というから無理からぬことだ。制作は広告代理店の宣弘社プロダクション。企画者は宣弘社・社長の小林利雄、原作は昨年亡くなった川内康範、監督は船床定男、主演は大瀬康一。本書はけっして昨今流行りの「昭和ノスタルジー」に耽るようなものではない。そこがよかった。著者の樋口尚文は映画批評家でもあるので、1958年というその後斜陽化を進んでいく映画界とこれから台頭するテレビ界の相方のメディアのあり方を照射しながら書いている点に好感が持てる。 それでも、宣弘社プロダクションという名前は私の目に焼き付いた懐かしい名前だ。『月光仮面』後の宣弘社作品『豹(ジャガー)の眼』『怪傑ハリマオ』『隠密剣士』(いずれも監督は船床定男)はワクワクしながら観ていたのでよく覚えている。80年代にビデオレンタル屋ができはじめた頃、昔の映画や懐かしのテレビ番組が多くビデオ化された。その中に『月光仮面』もあったので、なつかしさ半分で見直したことがある。しかし、低予算の乏しい撮影環境でつくられた作品だけに、全編観るのも忍びない作品だった。テレビ勃興期の中のその辺の事情を、この本はうまく記している。 ちなみに監督の船床定男をネット上で検索してみても、船床の仕事の全容は知ることができない。Wikipediaにもその名前は出て来ない。子ども向けのテレビ作品ばかりを多く手がけ、監督としては評価が高くないからなのか。そうした意味でも本著は貴重である。なぜなら、船床定男には、師に伊藤大輔、兄弟子に加藤泰がいるという意外なプロフィールの紹介も忘れていないからである。 その他読んだ本: 『ショーケン』(萩原健一著、講談社・2008年)ゴーストライターが書いたというより、あくまでも聞き書きである。暴露本の類として昨年話題になっていたが、役者、萩原健一がこれまで付き合ってきた神代辰巳、工藤栄一などの監督論や、それらの作品を通じての自分の演技論になっている点は見逃せない。 ただ私自身、彼の70年代のテレビ番組の代表作『傷だらけの天使』『前略おふくろ様』『祭りばやしが聞こえる』など残念なことにほとんど観ていない。その頃アパートの部屋にはテレビがなかったからしようがない。 『漂泊の王の伝説』(ラウラ・ガジェゴ・ガルシア著、松下直弘=訳、偕成社・2008年)いわゆる児童文学にあたる作品だが、これはすばらしい「詩と人生」をめぐるドキドキ、ワクワクするエキゾチックなフレーバー溢れるファンタジー。 砂漠の王国、キンダの王子ワリードは貧しい絨毯織りの詩によって、夢と名誉をうばわれてしまう。憎しみにかられ、ワリードはその男に難題をもうしつける。人類の歴史をすべて織りこんだ絨毯をつくれ、と。それは、成しとげられない命令のはずであった…。 後半、SF的要素も加わり、まるで映画を観ているようなダイナミックな展開になる。 『人間を撮る ドキュメンタリーがうまれる瞬間』(池谷薫著、平凡社・2008年) 著者のドキュメンタリー『蟻の兵隊』をとても観たくなった。 『名人 志ん生、そして志ん朝』(小林信彦著、文春文庫・2007年) 大須演芸場での志ん朝の姿が印象的。志ん朝はちゃんと聴く必要あり。
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