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2008年 08月 01日
まぎれもない本年の日本映画の傑作である。
誰もがきっと思うように、この『接吻』の主人公・小池栄子はまるで増村保造の映画に登場する一直線の愛を涯まで貫く女性たちのようだ。 あるいは、フランソワ・トリュフォーの傑作『アデルの恋の物語』のイザベル・アジャーニの募る想いのあまり、狂気の愛にまで行き着く女の一途な姿に近いかもしれない。また物語の構造的には、同じくトリュフォーの『突然炎のごとく ジュールとジム』の三角関係のヴァリアントと言えなくもない。 おそらく、誰も小池栄子がここまで究極の愛を演じることのできるすごい役者だとは、これを観るまで想像できなかったに違いない。 東京郊外のどこにでもありそうなありふれた住宅街。ジーンズの後ろポケットに金槌をしのばせた坂口(豊川悦司)がゆっくりと歩いていく。途中擦れちがった主婦に「こんにちは」と低い声をかける。物語半ばまで、豊川の声が聞けるのは、この瞬間だけだ。豊川の朦朧とした歩みをカメラは横移動で追い続ける。不吉なできごとの予兆である。鍵の開いている一軒の家に侵入した彼は、つぎつぎに一家三人を惨殺。盗んだキャッシュカードで現金を引き出し、携帯を取り出し、防犯カメラに向かい何かを叫ぶ。部屋では、ネットからマスコミに向け自分の犯罪告知を行い、自分が警察に捕まるところを取材させる。カメラに取り囲まれた彼は、不気味な謎の笑みを放つ。 その様子を偶然テレビで観ていたのが、28歳のOL京子(小池栄子)である。彼女は職場で疎んじられ、内面に孤独と疎外感を感じていたが故、一瞬でこの坂口に惹かれていく。ここからがすごい。さまざまな新聞、雑誌から彼の人生や生い立ちをプロファイリングし、獄中の彼に向け手紙さえ書きはじめる。これまでなんの目標もなかった人生に一筋の光を見つけてしまったのだ。裁判の傍聴にまで熱心に駆けつけ、坂口の国選弁護人長谷川(仲村トオル)を通じて面会を求める。 さまざまな手紙や差し入れの後の面会で、坂口の気持ちは京子に傾くが、面会をたび重ねるうちに、坂口自身もじょじょに京子の異常に高まる愛情に懸念と不安を感じはじめる。この辺の小池栄子の愛のエスカレートぶりが、観ていていたたまれなくなるほどすごいの一言。 弁護士の長谷川も一途な京子の姿にどこか惹かれていく。坂口の兄がいる群馬を訪ね、殺風景な田んぼ道で会話を交わす光景や、裁判所の階段で擦れちがいざまに交わす京子と長谷川の会話も見事なまでにサスペンスを煽り映画的ですばらしい。 やがて坂口の死刑が確定すると、京子のたっての願いで二人は獄中結婚をする。そして坂口が誕生日を迎える日、京子はガラス越しではなく、直接坂口と逢いたいと願い出る。 誕生日の日、刑務所の一室。京子は坂口のために用意したバースデイ・ケーキの蝋燭に火を灯し「ハッピーバースデイ」を歌いはじめる。そして、そこに衝撃の結末が待ち受けている。(これ以上は書けません!) タイトルともなった「接吻」とは、ああこの意味だったのか!私はこのシーンに驚愕せざるを得なかった。 監督は万田邦敏。脚本は万田珠美と万田邦敏の共同オリジナル脚本である。現在どの映画も知られたマンガやライトノベルばかりを原作にする中、『アフター・スクール』もそうだったが、こうした優れたオリジナル脚本で映画に望む姿勢を、私は高く評価したい。 ユーロスペース公開時に見逃したため、昨晩ギンレイホールにて鑑賞。
by tsukimoto_natsumi
| 2008-08-01 15:12
| 映画
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