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2012年 01月 16日
2011年11月09日(水)
映画女優 香川京子『東京のヒロイン』(製作:野口久光 監督:島耕二 主演:轟夕起子、森雅之 1950年・新東宝)『銀座化粧』(監督:成瀬巳喜男 脚本:岸松雄 主演:田中絹代 1951年・新東宝)@フィルムセンター。 『東京のヒロイン』 映画全体をほのぼのとした幸福感が満たしている。柳の下、石畳の公園。服部良一作曲の洗練された「ラブレター」のメロディを乞食のバイオリン弾きが奏でると轟夕起子と森雅之が睦まじく踊りはじめる。カメラはそっと上空に舞い上がり、銀座の夜の街並みを捉える。束の間のマジック。 『銀座化粧』 女がいる。女は銀座のバーに勤めている。女には昔客だった男との間にできた春坊という子どもがいる。(この子どもが歩き駆ける街や家々の狭い路地がいい)女には多くのしがらみがある。このしがらみが笑いと寂寥をうむ。後輩の香川京子が魅力的。諦念と希望のあわいで、女は明日へと歩む。 2011年11月12日(土) 『みな殺しの霊歌』(加藤泰監督 出演:佐藤允、倍賞千恵子 1968・松竹)『炎のごとく』(加藤泰監督 出演:菅原文太、倍賞美津子、きたむらあきこ 1981・東宝)@新文芸坐。6月のシネマヴェーラ「加藤泰傑作選」で観逃した『みな殺しの霊歌』をやっと観る。『炎のごとく』は今年二回目。 『みな殺しの霊歌』 週刊誌を雨傘のように飛び込んだ中華料理屋での佐藤允と倍賞千恵子の出逢い。変わりつつある新宿西口の歩道橋の上での二人。そして場所さえわからぬ荒涼とした風景のなかで語り合う二人。ダークサイドだけでなく、このピュアサイドが禁断のメルヘンのように途轍もなくうつくしい。 『炎のごとく』 黒光りのする京都の薄暗い家屋の中、文太の帰りを待ちながらひとりいそいそと、食事や酒の準備をし、麻の簾をかけ、蚊遣りを置くきたむらあきこの場面には、何度観ても涙が出そうになる。全編ダイナミズムに貫かれた映画だが、こうした些細な部分の演出がなんとも加藤泰なのだと思う。 2011年11月13日(日) 川谷拓三映画祭『狂った野獣』(中島貞夫監督 出演:川谷拓三、片桐竜次 1976・東映)、野口貴史×仁科貴×高平哲郎トークショー、『警視-K』第一話「そのしあわせ待った!」@銀座シネパトス シネマヴェーラで観たばかりの『狂った野獣』は、すばらしいピカピカのニュープリント。 『狂った野獣』 小動物のように震える川谷拓三。やけくそ気味に「南国土佐を後にして」を唄い、ガキのオシッコの心配をする。乗客のケンカの仲裁もする。そして渡瀨恒彦にも簡単に騙される。次の祭りのために渡瀨と星野は小便だらけの湖に飛び込むが、拓ぼんは冷たい弾丸の一撃を額に浴びるだけだった。 『警視-K』 ストーリーといい撮影手法といい71年の『顔役』を踏襲している気もするが、テレビドラマゆえ、あの映画ほどアヴァンギャルドではない。どちらかといえば、Kの捜査方法はまるで、勝新の映画の演出方法をドキュメントしている気さえする。娘の出演シーンもドキュメント風になまなましい。 2011年11月19日(土) 『魚影の群れ』(相米慎二監督 出演:緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市 1983・松竹)、トークイベント:伊武雅刀、長沼六男@東劇(東京FILMeX) 『魚影の群れ』 観ている途中で何度も無呼吸状態に陥ってしまう。そのくらい役者と撮影の絶妙の呼吸に息を飲み続ける。緒形拳、夏目雅子以外にもレオナルド熊、三遊亭圓楽、おでん屋のオヤジ・工藤栄一(!)がいい芝居をしている。原田芳雄が唄うエンディング曲もいい。みんな故人になってしまった。 2011年11月20日(日) 『とんかつ大将』(川島雄三監督 出演:佐野周二、津島惠子、徳大寺伸 1952・松竹)@東劇(東京FILMeX)『恋文』(神代辰巳監督 出演:萩原健一、倍賞美津子、高橋恵子 85・松竹)『離婚しない女』(神代辰巳監督 出演:萩原健一、倍賞千恵子、倍賞美津子 86・松竹)@新文芸坐 『とんかつ大将』ごく普通の娯楽映画において、その点が好ましい。が、その後の崔洋一のトークが適当すぎる。 『恋文』『離婚しない女』ともに音楽は井上堯之なんだけど、映画音楽ってこうでしょ?みたいな感じで、変に手練れちゃってよくなかったなあ。前者はうるさすぎるし、後者は中途半端なフランス映画音楽みたいで、じつによろしくない。 2011年11月25日(金) 相米慎二のすべて『東京上空いらっしゃいませ』(撮影:稲垣涌三 出演:中井貴一、牧瀬里穂、笑福亭鶴瓶 1990・松竹)@東劇(東京フィルメックス)『史上最大のヒモ 濡れた砂丘』(監督:依田智臣1974・東映)『県警対組織暴力』(監督:深作欣二 1975・東映)@銀座シネパトス 『東京上空いらっしゃいませ』 清々しい余韻が残るゴースト・ファンタジー。牧瀬里穂の溌剌と力強い演技。井上陽水「帰れない二人」を牧瀬、清志郎、加藤登紀子、木村充揮(憂歌団)などさまざまな歌手のさまざまなアレンジで聴けるのも楽しい。どこかメリエスの映画を思わせるオプチカル合成も味の内。そのオプチカル合成撮影シーンが多いゆえか、撮影は相米作品にしては珍しく「怪奇大作戦」「曼陀羅」など実相寺作品でお馴染みの稲垣涌三(稲垣浩監督のご子息)。90年代初頭の松竹作品なので音楽協力にPIZZICATO Vの初代ボーカル、佐々木麻美子の名も。 『県警対組織暴力』 有無を言わさぬ圧倒的パワーではじめから終わりまでを駆け抜ける。菅原文太、松方弘樹の主役級から、中堅の室田日出男、山城新伍、しがない佐野浅夫、アカ嫌いの汐路章、ダンヒルライターのちんぴら奈辺悟、取調室での川谷拓三、どいつもこいつもすばらしすぎる。体液と便所の臭い!画面の隅から隅まで匂い立ち漲る迫力の役者たち、深作の演出、赤塚滋の撮影のみごとさもさることながら、さまざまなエピソードを無駄なく伏線としてちりばめる笠原和夫の緻密な構成にも感服する。観終わった後は、しばし言葉にならないほど。また観るしかない。 『史上最大のヒモ 濡れた砂丘』 哀しみが立ちのぼる。オールドミス銀行員・小島恵子の白い下着から、その脇毛から、ホテルの安調度から、公園でのデートから。銀座のバーマダム・川村真樹のお支払いがまだの毛皮から。川谷拓三がダンディを気取れば気取るほど、哀しみが三面記事のように立ちのぼる。 2011年11月27日(日) 『しいのみ學園 』(清水宏監督 出演:宇野重吉、香川京子、花井蘭子 1955・新東宝)@フィルムセンター 上映後前にいた女性に、おじさんが注意「上映中は携帯を切ってて下さいよ」女性「あの時間を見てただけですけど」そういう返答あるのか。 『しいのみ學園 』 グローブとミットを持ってこなければ、野球に加えないと宇野の小児マヒの長男をいじめ、仲間全員でびっこの真似をして去っていく子どもたちの残酷ぶり。學園で、じょじょにマヒの子どもの輪を広げる汽車ポッポごっこ、泥だらけの學園の前の雨の坂道。どれもが自然で胸を静かに打つ。この映画でも、学園内から戸外へ(またはその逆)とカメラはじつにきれいに横移動をし、映画の空間を豊かに広げる。清水宏の映画ほど美しい横移動というのを見たことがない。 2011年12月03日(土) 『喜劇 特出しヒモ天国』(森崎東監督 出演:山城新伍、川谷拓三、池玲子、芹明香 1975・東映)『河内のオッサンの唄』(斎藤武市監督 出演:川谷拓三、夏純子、岩城滉一 1976・東映)@銀座シネパトス『喜劇 特出しヒモ天国』に感動、二回観てしまった。 『喜劇 特出しヒモ天国』 たえず組んず解れつ、殴り合い、抱きつきあい、逃げまどい、文字通り転び落ちるヒモとストリッパーたち。女と男たちのするすると相手を代えながら移動を繰り返す流動のバイタリティ。灯籠の流れる川で泳ぎ「黒の舟唄」を歌い踊る芹明香の華奢な肉体からラストまでは涙の連続。芹明香もそうだが、池玲子があまりに森崎東の描く世界にぴったりと似合っているのに驚く。古谷伸の間断なく視点を移動させるカメラもすばらしい。助監督に『濡れた砂丘』の依田智臣の名前。しかもストリップ劇場が同じだったり競艇場の素材も同じ。こっちが一年後の作品とは?街を護送車が過ぎていく。中で連行されたストリッパーたちが「黒の舟唄」を合唱している。カメラは護送車の後尾をとらえる。振り向く女。車の中の芹明香の硝子網越しのこちらを睨むようなアップのうつくしく力強い顔。こんな感動的なエンディングはそう滅多あるもんじゃない。 『河内のオッサンの唄 』 初主役が眩しいのか照れくさいのか川谷拓三は夏純子との結婚式でもサンバイザーを被っている。映画にはずっとどこかで見たような既視感が付きまとっている。前半は松竹喜劇(はっきり言って寅さん)であり、後半は日活アクションだ。どうも東映作品に見えない斎藤武市監督作。 2011年12月04日(日) 『地上』(監督:吉村公三郎 撮影:中川芳久 音楽:伊福部昭 出演:川口浩、野添ひとみ、香川京子、田中絹代 1957・大映)@フィルムセンター 『地上』 とにもかくにも舞台となる大正末の金沢の街と女性の描写が傑出している。とくに芸妓として売られてきた香川京子がじょじょにその立ち振る舞いと着物姿を身につけていく様は溜息が出るほど。同様に女学生着物の川添ひとみも可憐でいい。方や男性陣の多くは紋切り型で薄っぺらく胡散臭さを纏う。 2011年12月14日(水) 『約束』(斎藤耕一監督 出演:萩原健一、岸恵子、南美江 1972・松竹)『ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを』(内川清一郎監督 出演:ザ・テンプターズの皆さん、新珠三千代 1969・東宝)@銀座シネパトス1 (だというのに観客まばらだぞ的ショーケン映画祭平日のみ上映の第一弾) 『約束』 岸恵子の乗る列車の前に偶然座る萩原健一。新聞とヘアピンが小道具として利いている。列車は荒れる日本海を沿うように北上し、そこに宮川泰の緊迫感ある甘く切ないメロディが被る。だが、映画は以降失速するばかり。狙い澄ましたいい絵のみをつないでも映画はエモーショナルになることはない。 『涙のあとに微笑みを』 ザ・テンプターズの愚曲「おかあさん」からつくられたとおぼしき一種の母子物映画。夕陽の団地の屋上。“ショーケン、ここで「おかあさん」を思い入れたっぷりに唄ってね”“あの曲ヨッチンがボーカルなんすけど”ということか、ロングで一曲ただ佇むだけのカットになった映画。60年代後半の東京映画の美術セットはどれも雑すぎて「トンデモ」を越えて呆れるばかりです。 2011年12月17日(土) ショーケン映画祭『化石の森』(監督:篠田正浩 共演:杉村春子、二宮さよ子 1973・東宝)『雨のアムステルダム』“The Two of Amsterdam Rain”(監督:蔵原惟繕 共演:岸恵子、三國連太郎 1975・東宝)@銀座シネパトス ともに脚本:山田信夫、撮影:岡崎宏三 『化石の森』 女性がどれも怖い。大きな口を開けて噴霧器で喉を潤す杉村春子が怖い。ショーケンをちくる看護婦が怖い。毒薬を染み込ませたマニキュアをマスターに塗る二宮さよ子が怖い。理髪店の同僚の視線も嫌だ。母・杉村にラブホテルの住所で手紙を送らないでと冷たく言い放つ岩下志麻もすごく怖い。 『雨のアムステルダム』 おお、こういうショーケン映画を待っていたのだよ。コンチのスーツやトレンチコートが似合うのは当たり前。ラクダの股引姿で剣道の居合いをし、トイレで隣の売春婦と話し、鍋のままラーメンをすする。いざとなれば愛する女さえも裏切ってみせる。眩しい氷上を滑る最後が切ない。 音楽の井上堯之、この映画でずいぶんいろんなタイプの多くのスコアを書いているのに驚く。本来の持ち味の「傷だらけの天使」風インストから、フランシス・レイ風、ミシェル・ルグラン風ジャズまで。ともかく音楽もてんこ盛り。 2011年12月18日(日) 『北北西に進路を取れ』(監督:A・ヒッチコック 出演:ケーリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント1959・MGM)@日比谷みゆき座 たまたま読んだきょうの新聞で「午前10時の映画祭」がみゆき座では一日中おこなわれていることを知って、観に行きました。 『北北西に進路を取れ』 MGMのライオン・マークからはじまるB・ハーマンの少し歪で高揚感溢れるテーマ音楽。グリーンの背景に斜め・垂直に白い線が次々に走る見事なS・バスのタイトル。それが硝子張りのビルに乗り変わり、人で溢れるオフィス。バスに乗り遅れるヒッチコック。ぐっと引き込まれる。ラシュモア山近くにあるというフランク・ロイド・ライトの落水荘を思わせるJ・メイスンの別荘のセットがすばらしい。一階、居間にメイスンとM・ランドー、2階の個室にE・M・セイント。それを交互に捉えるグラントと、きっちり物語の中に機能させてみせるところがすごい。 2011年12月22日(木) ショーケン映画祭『股旅』(監督:市川崑 美術:西岡善信 衣裳考証:上野芳生 共演:小倉一郎、尾藤イサオ、井上れい子 1973・ATG)『瀬降り物語』(監督:中島貞夫 共演:藤田弓子、殿山泰司 1985・東映)@銀座シネパトス 『股旅』の上野芳生の衣裳の仕事は驚嘆に値する! 『股旅』 青春なんて、ぶざまで情けなくトホホなもの。つかず離れず、 小倉一郎、 尾藤イサオ、ショーケンの三人股旅は青春ジャムセッションのよう。固定3ピースバンドではない。 小倉と井上れい子のあまりにつたなく幼い恋愛も愛おしい。三人の襤褸だらけの股旅姿、映画のようにさまになっている。 『瀬降り物語』 藤田弓子、早乙女愛、河野美地子の惜しげもない脱ぎっぷり!とりわけ、藤田弓子の大熱演は見物(?)。殿山泰司と全裸で風呂に入り、殿山の体を洗いながら天空を駆けるエロ話を飛ばし、ショーケンの股間を鷲掴みにしてのセックスは豪快ですらある。それに歯を食いしばるショーケンの顔! 2011年12月25日(日) 『エッセンシャル・キリング』(監督:イエジー・スコリモフスキ 出演:ヴィンセント・ギャロ 2010・ポーランド=ノルウェー)『ザ・ウォード/監禁病棟』(監督: ジョン・カーペンター. 出演: アンバー・ハード 2011・米)@新文芸坐 『エッセンシャル・キリング』 なにか大事なシーンを見落としてしまっていたのだろうか?雪山を逃走中のギャロの服装と靴に疑問がわくこと二回ほど。その疑問で躓いたことで、なかなか物語世界にのめり込めず。最後の疑問はエンド・クレジットにて。ひとりだけ四角で囲まれたキイ・グリップの人って誰? 『ザ・ウォード/監禁病棟』 十年ぶりの新作だというのに、カーペンターは特に気負う風でもない。精神病棟という限定された場所での定石やおきまりのハラハラドキドキをきちんと鏤める。これが楽しい。おそらく『エッセンシャル…』もこれも、公開後いちばん大きなスクリーンでの上映ではないだろうか? 2011年12月31日(土) 『天井桟敷の人々』(監督:マルセル・カルネ 脚本:ジャック・プレヴェール 出演:アルレッティ、ジャン=ルイ・バロー 1945・パテ・フィルム・仏)@日比谷みゆき座 その後、映画でごいっしょだった沼辺さんと、有楽町ガード下で一軒だけ開いていた居酒屋で飲んで帰宅。 『天井桟敷の人々』 最初30分近くアルレッティおばさんを取り巻く恋愛話のまだるっこいやりとりについて行けるかと危惧したが、その心配まったく無用の三時間余。無言劇をモチーフにしながらのプレヴェールの洒脱豪奢な会話劇。オープニング、エンディングの人で溢れる街のセットの圧倒的すばらしさ! 2012年01月01日(日) 元日ショーケン映画祭『渋滞』(監督:黒土三男 共演:黒木瞳、サントリー・モルツ 1991・アルゴ)『八つ墓村』(監督:野村芳太郎 脚本:橋本忍 共演:小川真由美、渥美清、山崎努 1977・松竹)@とても寒かった銀座シネパトス 『渋滞』 正月休みを故郷の四国・真部島で迎えようとケチって自家用車で出かけるショーケン、黒木瞳一家。その先で高速大渋滞に巻き込まれ、さまざまなアクシデントにぶつかる。そこで起きるエピソードが、どれも小手先のものだらけで、なにひとつ弾けることもなく、それなりに感動的な最後も台無しに。音楽はケニー・G。レコードから、まんま使用と思われる薄っぺらいソプラノ・サックスが、じつに適当に配せれる。それがどのシーンでもフェイド・アウトかカットアウト。この頃の映画はこういう雰囲気使いが多かった。こういうイージーな映画音楽は最悪。(これだけは言っておきたかった) 『八つ墓村』 ショーケンという俳優はいつも画面の中に「なぜ、俺はここにいるのだろうか?」といった違和感を漂わせている。映画によっては、そこが良いのだし、そこが大欠陥にもなる。この映画でもショーケンは、そうした風情をつねにまとっている。それが野村・橋本映画の中では窮屈・退屈に思える。 2012年01月02日(月) きのう観た映画とMacの突如の臨終で心はやさぐれたまま、正月に便乗し飲んだくれて、そのまま爛れてふて寝しそうだったので、バスに乗って錦糸町へ。トーホーシネマズ錦糸町で『リアル・スティール』を観る。やあ、これはおもしろい!そして泣いちまった。スッキリ。 『リアル・スティール』 音楽はダニー・エルフマン。カントリーやロック音楽に一歩席を譲っているように見える。が、ロボットの墓場のような廃材置き場で埋もれたATOMを発見する場面で『バットマン・リターンズ』の川を流れるペンギン場面に似た不安で切ないメロディをここぞとばかり奏でてみせる。 2012年01月07日(土) 『アフリカの光』(神代辰巳監督 共演:田中邦衛 1975・東宝)『青春の蹉跌』(神代辰巳監督 共演:桃井かおり 1974・東宝)@銀座シネパトス。『憧れのハワイ航路』(齋藤寅次郎監督 出演:岡晴夫、古川緑波 1950・新東宝)「日本の映画ポスター芸術」展@フィルムセンター 『アフリカの光』 ショーケンと田中邦衛のふたりのどこにアフリカの光が見えているのか。氷原を、雪の中を、風呂の中でぶつかり合い抱き合い、つねにぐずぐず、グダグダ彷徨うさまが映画だ。掌で丸められ、相手の下着や胸の谷間に入れられる紙幣がまるで役に立たない紙屑のよう。役に立つのは一円玉か。(おまえら、なんでいつもそうなのよ的)高橋洋子と桃井かおりのふたりが揃うと、まさにザッツ70年代!ショーケンと藤竜也の関係もかなり怪しくホモ・ソーシャル。絵沢萠子、小池朝雄 、峰岸徹が絵を厚くしている。音楽、歌、ラジオと映画は音で溢れている。 『青春の蹉跌』 ガッガッ、ゴツゴツと体と体、肩と肩とぶつけ合う感触。女を抱っこし背負うぶにゅっとした感触。そうした不透明で不器用な感触が世界を覆っている。野心とか計算高さとかはこの際関係ない。この爽やかさとはほど遠いネバネバした世界の中のショーケンは気高く孤独で最高のかっこよさだ。神代辰巳の最高傑作とも言い難い。姫田真佐久の撮影だって『アフリカの光』の方がよほど自由ですぐれているかもしれない。長谷川和彦の脚本だって型にはまって出来すぎだろう。時間を錯誤させる編集も時代を感じさせる。にも関わらず、ここにつねに青春映画のオーラが立ちのぼっている。 『憧れのハワイ航路』 題名とはかけ離れた岡晴夫と古川緑波が下宿する居酒屋の女将(清川玉枝)が再婚前に涙ながらに手放した子ども二人との偶然の邂逅と親子の愛を取り戻す物語。かくして湿っぽい演出に斎藤寅次郎のギャグもさっぱり冴えない。主演・岡晴夫のニュアンスに乏しい演技もいかがなものか。 「日本の映画芸術ポスター」展。まず河野鷹思の5点がいい。特に小津の『お嬢さん』のモダニズムは何ごとか。黒澤『生きる』の猪熊弦一郎の力強くやさしい絵の力。林静一『曼荼羅』の水墨画エロス。檜垣紀六の一連も洗練されている。そしてATG小笠原正勝の変幻自在の仕事ぶりのみごと(『股旅』)! 2012年01月08日(日) 『豪傑児雷也』(牧野省三監督 出演:尾上松之助 1921・日活京都 )『非常線の女』(小津安二郎監督 出演:田中絹代、岡譲二 1933・松竹蒲田)@江東シネマフェスティバル。『桃の花の咲く下で』(清水宏監督 出演:笠置シヅ子、日守新一 1951・新東宝)@フィルムセンター 大漁! 『非常線の女』 昼は丸の内のタイピスト、夜はギャング・岡譲二の情婦、田中絹代がトレンチコート姿で拳銃をかまえ、最後にはそれを撃つ。このアンバランスさがたまらないハリウッド調のスタイリッシュな犯罪メロドラマ。何気ない岡譲二のユーモア、逢初夢子のヴァンプ、水久保澄子の清純がすばらしい。 『桃の花の咲く下で』 カム・カム・エブリバディ♪歌う紙芝居屋さん、笠置シヅ子が子どもたちを引き連れて練り歩く長い横移動の冒頭から映画に吸い込まれるマジック。活き活きとしっとりと慈愛に満ちた空気が映画を包む。治療に訪れた温泉湯治はまんま『按摩と女』『簪』だが、それも嫌みにはならない。 2012年01月10日(火) 『御誂次郎吉格子』(伊藤大輔監督 出演:大河内傳次郎、伏見直江、伏見信子 1931・日活太秦)@神保町シアター 『御誂次郎吉格子』 太鼓がドンドンと腹に響くほど鳴り渡る。あれよあれよと提灯が画面いっぱいにひしめく。舟が傾かんほど、屋根瓦が崩れ落ちそうなほど。目くるめくカッティング。映画は祭り。男の見栄と女の一途を乗せて。終わってしまえば、どうしようもなく切ない。字幕の台詞が癪に障るほど粋だ。鼠小僧次郎吉(大河内傳次郎)が大阪に逃亡する船でお仙(伏見直江)と知り合うまでの冒頭の件がサスペンスフルで息を飲むほど。お仙の財布を狙う坊主、それをさり気なく阻止する次郎吉。それが偽次郎吉の慌ただしい逮捕劇のさなかに、みごとなカメラワークと大胆な編集で描かれる。 2012年01月13日(金) 『君と別れて』 (監督:成瀬巳喜男 出演:水久保澄子♡吉川満子、磯野秋雄 1933・松竹蒲田)@神保町シアター。今週は『非常線の女』に続いて水久保澄子♡二回目、うれしいなあ!劇場はチケツ売り切れ満員御礼。 『君と別れて』 三業地芸者のややうらぶれた姿が画面に微妙な諦念の影を落としている。自らの境遇を嘆く吉川満子と水久保澄子が立ち止まる橋の上の光景。水久保が磯野と訪れる故郷の港町もどこか殺風景だ。そんな中で成瀬が水久保をさまざまな姿、角度、サイズで執拗に追いかけているのが印象に残る。 2012年01月14日(土) 柄本明の流儀。『空がこんなに青いわけがない』(監督:柄本明 製作:相米慎二 出演:三浦友和、夏川結衣、岸本加世子 1993)『ラブ・レター』(監督:森崎東 出演:中井貴一、山本太郎、耿忠 1998)@シネマヴェーラ渋谷 間に柄本明+榎戸耕史監督のトークショーあり。 『空がこんなに青いわけがない』 冒頭からのオフビート気味のはずし妙味のナンセンスなギャグについていけない。渡辺えり子や蛭子能収が出るだけで笑いが起きていたが、そんなおもしろいものか?三浦友和がじょじょに疎外感からクレージーになっていく様がいい。小津に似て小津にあらずとは言い得て妙。 『ラブ・レター』 森崎東はマージナルな場所を探す。そこは、たえず異物が紛れ込む中井貴一が住み働く新宿二丁目やゴールデン街、偽装結婚した耿忠が働く千葉・千倉の外国人スナック、中井の故郷、北海道だ。それを見つめる森崎の眼差しは真剣でやさしい。この映画では、めずらしく直球球を投げている。 2012年01月15日(日) 『人情馬鹿』(監督:清水宏 出演:角梨枝子、菅原謙二 1956・大映東京)@神保町シアター。『風流交番日記』(監督:松林宗惠 出演:小林桂樹、宇津井健、志村喬 1955・新東宝)@超満員のフィルムセンター。先週は30年代の映画ばかり観ていたので、二作とも新しく思えた。 『人情馬鹿』 清水宏が大映と専属契約を結んだ第一作。いかにも大映作品といった暗く沈んだムードを菅原謙二、根上淳ら大映俳優のクールな演技と相まって醸し出す。冒頭キャバレーのペギー葉山の歌を一曲まるまるとらえる長い横移動、角梨枝子がアパートの階段を上がる垂直移動と清水らしい高度な撮影。 『風流交番日記』 戦後十年当時の新橋駅前の交番の物語なら、豊富なエピソードに事欠くことはない。物語での志村喬、小林桂樹、宇津井健、御木本伸介の四人の巡査の描き分けが巧みで気が利く。小林が思いを寄せる都会のお嬢さん安西郷子とズーズー弁丸出しの阿部寿美子の恋愛コントラストがすばらしい。
by Tsukimoto_Natsumi
| 2012-01-16 21:12
| 映画
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