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2012年 01月 16日
2011年11月09日(水)
映画女優 香川京子『東京のヒロイン』(製作:野口久光 監督:島耕二 主演:轟夕起子、森雅之 1950年・新東宝)『銀座化粧』(監督:成瀬巳喜男 脚本:岸松雄 主演:田中絹代 1951年・新東宝)@フィルムセンター。 『東京のヒロイン』 映画全体をほのぼのとした幸福感が満たしている。柳の下、石畳の公園。服部良一作曲の洗練された「ラブレター」のメロディを乞食のバイオリン弾きが奏でると轟夕起子と森雅之が睦まじく踊りはじめる。カメラはそっと上空に舞い上がり、銀座の夜の街並みを捉える。束の間のマジック。 『銀座化粧』 女がいる。女は銀座のバーに勤めている。女には昔客だった男との間にできた春坊という子どもがいる。(この子どもが歩き駆ける街や家々の狭い路地がいい)女には多くのしがらみがある。このしがらみが笑いと寂寥をうむ。後輩の香川京子が魅力的。諦念と希望のあわいで、女は明日へと歩む。 2011年11月12日(土) 『みな殺しの霊歌』(加藤泰監督 出演:佐藤允、倍賞千恵子 1968・松竹)『炎のごとく』(加藤泰監督 出演:菅原文太、倍賞美津子、きたむらあきこ 1981・東宝)@新文芸坐。6月のシネマヴェーラ「加藤泰傑作選」で観逃した『みな殺しの霊歌』をやっと観る。『炎のごとく』は今年二回目。 『みな殺しの霊歌』 週刊誌を雨傘のように飛び込んだ中華料理屋での佐藤允と倍賞千恵子の出逢い。変わりつつある新宿西口の歩道橋の上での二人。そして場所さえわからぬ荒涼とした風景のなかで語り合う二人。ダークサイドだけでなく、このピュアサイドが禁断のメルヘンのように途轍もなくうつくしい。 『炎のごとく』 黒光りのする京都の薄暗い家屋の中、文太の帰りを待ちながらひとりいそいそと、食事や酒の準備をし、麻の簾をかけ、蚊遣りを置くきたむらあきこの場面には、何度観ても涙が出そうになる。全編ダイナミズムに貫かれた映画だが、こうした些細な部分の演出がなんとも加藤泰なのだと思う。 2011年11月13日(日) 川谷拓三映画祭『狂った野獣』(中島貞夫監督 出演:川谷拓三、片桐竜次 1976・東映)、野口貴史×仁科貴×高平哲郎トークショー、『警視-K』第一話「そのしあわせ待った!」@銀座シネパトス シネマヴェーラで観たばかりの『狂った野獣』は、すばらしいピカピカのニュープリント。 『狂った野獣』 小動物のように震える川谷拓三。やけくそ気味に「南国土佐を後にして」を唄い、ガキのオシッコの心配をする。乗客のケンカの仲裁もする。そして渡瀨恒彦にも簡単に騙される。次の祭りのために渡瀨と星野は小便だらけの湖に飛び込むが、拓ぼんは冷たい弾丸の一撃を額に浴びるだけだった。 『警視-K』 ストーリーといい撮影手法といい71年の『顔役』を踏襲している気もするが、テレビドラマゆえ、あの映画ほどアヴァンギャルドではない。どちらかといえば、Kの捜査方法はまるで、勝新の映画の演出方法をドキュメントしている気さえする。娘の出演シーンもドキュメント風になまなましい。 2011年11月19日(土) 『魚影の群れ』(相米慎二監督 出演:緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市 1983・松竹)、トークイベント:伊武雅刀、長沼六男@東劇(東京FILMeX) 『魚影の群れ』 観ている途中で何度も無呼吸状態に陥ってしまう。そのくらい役者と撮影の絶妙の呼吸に息を飲み続ける。緒形拳、夏目雅子以外にもレオナルド熊、三遊亭圓楽、おでん屋のオヤジ・工藤栄一(!)がいい芝居をしている。原田芳雄が唄うエンディング曲もいい。みんな故人になってしまった。 2011年11月20日(日) 『とんかつ大将』(川島雄三監督 出演:佐野周二、津島惠子、徳大寺伸 1952・松竹)@東劇(東京FILMeX)『恋文』(神代辰巳監督 出演:萩原健一、倍賞美津子、高橋恵子 85・松竹)『離婚しない女』(神代辰巳監督 出演:萩原健一、倍賞千恵子、倍賞美津子 86・松竹)@新文芸坐 『とんかつ大将』ごく普通の娯楽映画において、その点が好ましい。が、その後の崔洋一のトークが適当すぎる。 『恋文』『離婚しない女』ともに音楽は井上堯之なんだけど、映画音楽ってこうでしょ?みたいな感じで、変に手練れちゃってよくなかったなあ。前者はうるさすぎるし、後者は中途半端なフランス映画音楽みたいで、じつによろしくない。 2011年11月25日(金) 相米慎二のすべて『東京上空いらっしゃいませ』(撮影:稲垣涌三 出演:中井貴一、牧瀬里穂、笑福亭鶴瓶 1990・松竹)@東劇(東京フィルメックス)『史上最大のヒモ 濡れた砂丘』(監督:依田智臣1974・東映)『県警対組織暴力』(監督:深作欣二 1975・東映)@銀座シネパトス 『東京上空いらっしゃいませ』 清々しい余韻が残るゴースト・ファンタジー。牧瀬里穂の溌剌と力強い演技。井上陽水「帰れない二人」を牧瀬、清志郎、加藤登紀子、木村充揮(憂歌団)などさまざまな歌手のさまざまなアレンジで聴けるのも楽しい。どこかメリエスの映画を思わせるオプチカル合成も味の内。そのオプチカル合成撮影シーンが多いゆえか、撮影は相米作品にしては珍しく「怪奇大作戦」「曼陀羅」など実相寺作品でお馴染みの稲垣涌三(稲垣浩監督のご子息)。90年代初頭の松竹作品なので音楽協力にPIZZICATO Vの初代ボーカル、佐々木麻美子の名も。 『県警対組織暴力』 有無を言わさぬ圧倒的パワーではじめから終わりまでを駆け抜ける。菅原文太、松方弘樹の主役級から、中堅の室田日出男、山城新伍、しがない佐野浅夫、アカ嫌いの汐路章、ダンヒルライターのちんぴら奈辺悟、取調室での川谷拓三、どいつもこいつもすばらしすぎる。体液と便所の臭い!画面の隅から隅まで匂い立ち漲る迫力の役者たち、深作の演出、赤塚滋の撮影のみごとさもさることながら、さまざまなエピソードを無駄なく伏線としてちりばめる笠原和夫の緻密な構成にも感服する。観終わった後は、しばし言葉にならないほど。また観るしかない。 『史上最大のヒモ 濡れた砂丘』 哀しみが立ちのぼる。オールドミス銀行員・小島恵子の白い下着から、その脇毛から、ホテルの安調度から、公園でのデートから。銀座のバーマダム・川村真樹のお支払いがまだの毛皮から。川谷拓三がダンディを気取れば気取るほど、哀しみが三面記事のように立ちのぼる。 2011年11月27日(日) 『しいのみ學園 』(清水宏監督 出演:宇野重吉、香川京子、花井蘭子 1955・新東宝)@フィルムセンター 上映後前にいた女性に、おじさんが注意「上映中は携帯を切ってて下さいよ」女性「あの時間を見てただけですけど」そういう返答あるのか。 『しいのみ學園 』 グローブとミットを持ってこなければ、野球に加えないと宇野の小児マヒの長男をいじめ、仲間全員でびっこの真似をして去っていく子どもたちの残酷ぶり。學園で、じょじょにマヒの子どもの輪を広げる汽車ポッポごっこ、泥だらけの學園の前の雨の坂道。どれもが自然で胸を静かに打つ。この映画でも、学園内から戸外へ(またはその逆)とカメラはじつにきれいに横移動をし、映画の空間を豊かに広げる。清水宏の映画ほど美しい横移動というのを見たことがない。 2011年12月03日(土) 『喜劇 特出しヒモ天国』(森崎東監督 出演:山城新伍、川谷拓三、池玲子、芹明香 1975・東映)『河内のオッサンの唄』(斎藤武市監督 出演:川谷拓三、夏純子、岩城滉一 1976・東映)@銀座シネパトス『喜劇 特出しヒモ天国』に感動、二回観てしまった。 『喜劇 特出しヒモ天国』 たえず組んず解れつ、殴り合い、抱きつきあい、逃げまどい、文字通り転び落ちるヒモとストリッパーたち。女と男たちのするすると相手を代えながら移動を繰り返す流動のバイタリティ。灯籠の流れる川で泳ぎ「黒の舟唄」を歌い踊る芹明香の華奢な肉体からラストまでは涙の連続。芹明香もそうだが、池玲子があまりに森崎東の描く世界にぴったりと似合っているのに驚く。古谷伸の間断なく視点を移動させるカメラもすばらしい。助監督に『濡れた砂丘』の依田智臣の名前。しかもストリップ劇場が同じだったり競艇場の素材も同じ。こっちが一年後の作品とは?街を護送車が過ぎていく。中で連行されたストリッパーたちが「黒の舟唄」を合唱している。カメラは護送車の後尾をとらえる。振り向く女。車の中の芹明香の硝子網越しのこちらを睨むようなアップのうつくしく力強い顔。こんな感動的なエンディングはそう滅多あるもんじゃない。 『河内のオッサンの唄 』 初主役が眩しいのか照れくさいのか川谷拓三は夏純子との結婚式でもサンバイザーを被っている。映画にはずっとどこかで見たような既視感が付きまとっている。前半は松竹喜劇(はっきり言って寅さん)であり、後半は日活アクションだ。どうも東映作品に見えない斎藤武市監督作。 2011年12月04日(日) 『地上』(監督:吉村公三郎 撮影:中川芳久 音楽:伊福部昭 出演:川口浩、野添ひとみ、香川京子、田中絹代 1957・大映)@フィルムセンター 『地上』 とにもかくにも舞台となる大正末の金沢の街と女性の描写が傑出している。とくに芸妓として売られてきた香川京子がじょじょにその立ち振る舞いと着物姿を身につけていく様は溜息が出るほど。同様に女学生着物の川添ひとみも可憐でいい。方や男性陣の多くは紋切り型で薄っぺらく胡散臭さを纏う。 2011年12月14日(水) 『約束』(斎藤耕一監督 出演:萩原健一、岸恵子、南美江 1972・松竹)『ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを』(内川清一郎監督 出演:ザ・テンプターズの皆さん、新珠三千代 1969・東宝)@銀座シネパトス1 (だというのに観客まばらだぞ的ショーケン映画祭平日のみ上映の第一弾) 『約束』 岸恵子の乗る列車の前に偶然座る萩原健一。新聞とヘアピンが小道具として利いている。列車は荒れる日本海を沿うように北上し、そこに宮川泰の緊迫感ある甘く切ないメロディが被る。だが、映画は以降失速するばかり。狙い澄ましたいい絵のみをつないでも映画はエモーショナルになることはない。 『涙のあとに微笑みを』 ザ・テンプターズの愚曲「おかあさん」からつくられたとおぼしき一種の母子物映画。夕陽の団地の屋上。“ショーケン、ここで「おかあさん」を思い入れたっぷりに唄ってね”“あの曲ヨッチンがボーカルなんすけど”ということか、ロングで一曲ただ佇むだけのカットになった映画。60年代後半の東京映画の美術セットはどれも雑すぎて「トンデモ」を越えて呆れるばかりです。 2011年12月17日(土) ショーケン映画祭『化石の森』(監督:篠田正浩 共演:杉村春子、二宮さよ子 1973・東宝)『雨のアムステルダム』“The Two of Amsterdam Rain”(監督:蔵原惟繕 共演:岸恵子、三國連太郎 1975・東宝)@銀座シネパトス ともに脚本:山田信夫、撮影:岡崎宏三 『化石の森』 女性がどれも怖い。大きな口を開けて噴霧器で喉を潤す杉村春子が怖い。ショーケンをちくる看護婦が怖い。毒薬を染み込ませたマニキュアをマスターに塗る二宮さよ子が怖い。理髪店の同僚の視線も嫌だ。母・杉村にラブホテルの住所で手紙を送らないでと冷たく言い放つ岩下志麻もすごく怖い。 『雨のアムステルダム』 おお、こういうショーケン映画を待っていたのだよ。コンチのスーツやトレンチコートが似合うのは当たり前。ラクダの股引姿で剣道の居合いをし、トイレで隣の売春婦と話し、鍋のままラーメンをすする。いざとなれば愛する女さえも裏切ってみせる。眩しい氷上を滑る最後が切ない。 音楽の井上堯之、この映画でずいぶんいろんなタイプの多くのスコアを書いているのに驚く。本来の持ち味の「傷だらけの天使」風インストから、フランシス・レイ風、ミシェル・ルグラン風ジャズまで。ともかく音楽もてんこ盛り。 2011年12月18日(日) 『北北西に進路を取れ』(監督:A・ヒッチコック 出演:ケーリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント1959・MGM)@日比谷みゆき座 たまたま読んだきょうの新聞で「午前10時の映画祭」がみゆき座では一日中おこなわれていることを知って、観に行きました。 『北北西に進路を取れ』 MGMのライオン・マークからはじまるB・ハーマンの少し歪で高揚感溢れるテーマ音楽。グリーンの背景に斜め・垂直に白い線が次々に走る見事なS・バスのタイトル。それが硝子張りのビルに乗り変わり、人で溢れるオフィス。バスに乗り遅れるヒッチコック。ぐっと引き込まれる。ラシュモア山近くにあるというフランク・ロイド・ライトの落水荘を思わせるJ・メイスンの別荘のセットがすばらしい。一階、居間にメイスンとM・ランドー、2階の個室にE・M・セイント。それを交互に捉えるグラントと、きっちり物語の中に機能させてみせるところがすごい。 2011年12月22日(木) ショーケン映画祭『股旅』(監督:市川崑 美術:西岡善信 衣裳考証:上野芳生 共演:小倉一郎、尾藤イサオ、井上れい子 1973・ATG)『瀬降り物語』(監督:中島貞夫 共演:藤田弓子、殿山泰司 1985・東映)@銀座シネパトス 『股旅』の上野芳生の衣裳の仕事は驚嘆に値する! 『股旅』 青春なんて、ぶざまで情けなくトホホなもの。つかず離れず、 小倉一郎、 尾藤イサオ、ショーケンの三人股旅は青春ジャムセッションのよう。固定3ピースバンドではない。 小倉と井上れい子のあまりにつたなく幼い恋愛も愛おしい。三人の襤褸だらけの股旅姿、映画のようにさまになっている。 『瀬降り物語』 藤田弓子、早乙女愛、河野美地子の惜しげもない脱ぎっぷり!とりわけ、藤田弓子の大熱演は見物(?)。殿山泰司と全裸で風呂に入り、殿山の体を洗いながら天空を駆けるエロ話を飛ばし、ショーケンの股間を鷲掴みにしてのセックスは豪快ですらある。それに歯を食いしばるショーケンの顔! 2011年12月25日(日) 『エッセンシャル・キリング』(監督:イエジー・スコリモフスキ 出演:ヴィンセント・ギャロ 2010・ポーランド=ノルウェー)『ザ・ウォード/監禁病棟』(監督: ジョン・カーペンター. 出演: アンバー・ハード 2011・米)@新文芸坐 『エッセンシャル・キリング』 なにか大事なシーンを見落としてしまっていたのだろうか?雪山を逃走中のギャロの服装と靴に疑問がわくこと二回ほど。その疑問で躓いたことで、なかなか物語世界にのめり込めず。最後の疑問はエンド・クレジットにて。ひとりだけ四角で囲まれたキイ・グリップの人って誰? 『ザ・ウォード/監禁病棟』 十年ぶりの新作だというのに、カーペンターは特に気負う風でもない。精神病棟という限定された場所での定石やおきまりのハラハラドキドキをきちんと鏤める。これが楽しい。おそらく『エッセンシャル…』もこれも、公開後いちばん大きなスクリーンでの上映ではないだろうか? 2011年12月31日(土) 『天井桟敷の人々』(監督:マルセル・カルネ 脚本:ジャック・プレヴェール 出演:アルレッティ、ジャン=ルイ・バロー 1945・パテ・フィルム・仏)@日比谷みゆき座 その後、映画でごいっしょだった沼辺さんと、有楽町ガード下で一軒だけ開いていた居酒屋で飲んで帰宅。 『天井桟敷の人々』 最初30分近くアルレッティおばさんを取り巻く恋愛話のまだるっこいやりとりについて行けるかと危惧したが、その心配まったく無用の三時間余。無言劇をモチーフにしながらのプレヴェールの洒脱豪奢な会話劇。オープニング、エンディングの人で溢れる街のセットの圧倒的すばらしさ! 2012年01月01日(日) 元日ショーケン映画祭『渋滞』(監督:黒土三男 共演:黒木瞳、サントリー・モルツ 1991・アルゴ)『八つ墓村』(監督:野村芳太郎 脚本:橋本忍 共演:小川真由美、渥美清、山崎努 1977・松竹)@とても寒かった銀座シネパトス 『渋滞』 正月休みを故郷の四国・真部島で迎えようとケチって自家用車で出かけるショーケン、黒木瞳一家。その先で高速大渋滞に巻き込まれ、さまざまなアクシデントにぶつかる。そこで起きるエピソードが、どれも小手先のものだらけで、なにひとつ弾けることもなく、それなりに感動的な最後も台無しに。音楽はケニー・G。レコードから、まんま使用と思われる薄っぺらいソプラノ・サックスが、じつに適当に配せれる。それがどのシーンでもフェイド・アウトかカットアウト。この頃の映画はこういう雰囲気使いが多かった。こういうイージーな映画音楽は最悪。(これだけは言っておきたかった) 『八つ墓村』 ショーケンという俳優はいつも画面の中に「なぜ、俺はここにいるのだろうか?」といった違和感を漂わせている。映画によっては、そこが良いのだし、そこが大欠陥にもなる。この映画でもショーケンは、そうした風情をつねにまとっている。それが野村・橋本映画の中では窮屈・退屈に思える。 2012年01月02日(月) きのう観た映画とMacの突如の臨終で心はやさぐれたまま、正月に便乗し飲んだくれて、そのまま爛れてふて寝しそうだったので、バスに乗って錦糸町へ。トーホーシネマズ錦糸町で『リアル・スティール』を観る。やあ、これはおもしろい!そして泣いちまった。スッキリ。 『リアル・スティール』 音楽はダニー・エルフマン。カントリーやロック音楽に一歩席を譲っているように見える。が、ロボットの墓場のような廃材置き場で埋もれたATOMを発見する場面で『バットマン・リターンズ』の川を流れるペンギン場面に似た不安で切ないメロディをここぞとばかり奏でてみせる。 2012年01月07日(土) 『アフリカの光』(神代辰巳監督 共演:田中邦衛 1975・東宝)『青春の蹉跌』(神代辰巳監督 共演:桃井かおり 1974・東宝)@銀座シネパトス。『憧れのハワイ航路』(齋藤寅次郎監督 出演:岡晴夫、古川緑波 1950・新東宝)「日本の映画ポスター芸術」展@フィルムセンター 『アフリカの光』 ショーケンと田中邦衛のふたりのどこにアフリカの光が見えているのか。氷原を、雪の中を、風呂の中でぶつかり合い抱き合い、つねにぐずぐず、グダグダ彷徨うさまが映画だ。掌で丸められ、相手の下着や胸の谷間に入れられる紙幣がまるで役に立たない紙屑のよう。役に立つのは一円玉か。(おまえら、なんでいつもそうなのよ的)高橋洋子と桃井かおりのふたりが揃うと、まさにザッツ70年代!ショーケンと藤竜也の関係もかなり怪しくホモ・ソーシャル。絵沢萠子、小池朝雄 、峰岸徹が絵を厚くしている。音楽、歌、ラジオと映画は音で溢れている。 『青春の蹉跌』 ガッガッ、ゴツゴツと体と体、肩と肩とぶつけ合う感触。女を抱っこし背負うぶにゅっとした感触。そうした不透明で不器用な感触が世界を覆っている。野心とか計算高さとかはこの際関係ない。この爽やかさとはほど遠いネバネバした世界の中のショーケンは気高く孤独で最高のかっこよさだ。神代辰巳の最高傑作とも言い難い。姫田真佐久の撮影だって『アフリカの光』の方がよほど自由ですぐれているかもしれない。長谷川和彦の脚本だって型にはまって出来すぎだろう。時間を錯誤させる編集も時代を感じさせる。にも関わらず、ここにつねに青春映画のオーラが立ちのぼっている。 『憧れのハワイ航路』 題名とはかけ離れた岡晴夫と古川緑波が下宿する居酒屋の女将(清川玉枝)が再婚前に涙ながらに手放した子ども二人との偶然の邂逅と親子の愛を取り戻す物語。かくして湿っぽい演出に斎藤寅次郎のギャグもさっぱり冴えない。主演・岡晴夫のニュアンスに乏しい演技もいかがなものか。 「日本の映画芸術ポスター」展。まず河野鷹思の5点がいい。特に小津の『お嬢さん』のモダニズムは何ごとか。黒澤『生きる』の猪熊弦一郎の力強くやさしい絵の力。林静一『曼荼羅』の水墨画エロス。檜垣紀六の一連も洗練されている。そしてATG小笠原正勝の変幻自在の仕事ぶりのみごと(『股旅』)! ![]() 2012年01月08日(日) 『豪傑児雷也』(牧野省三監督 出演:尾上松之助 1921・日活京都 )『非常線の女』(小津安二郎監督 出演:田中絹代、岡譲二 1933・松竹蒲田)@江東シネマフェスティバル。『桃の花の咲く下で』(清水宏監督 出演:笠置シヅ子、日守新一 1951・新東宝)@フィルムセンター 大漁! 『非常線の女』 昼は丸の内のタイピスト、夜はギャング・岡譲二の情婦、田中絹代がトレンチコート姿で拳銃をかまえ、最後にはそれを撃つ。このアンバランスさがたまらないハリウッド調のスタイリッシュな犯罪メロドラマ。何気ない岡譲二のユーモア、逢初夢子のヴァンプ、水久保澄子の清純がすばらしい。 『桃の花の咲く下で』 カム・カム・エブリバディ♪歌う紙芝居屋さん、笠置シヅ子が子どもたちを引き連れて練り歩く長い横移動の冒頭から映画に吸い込まれるマジック。活き活きとしっとりと慈愛に満ちた空気が映画を包む。治療に訪れた温泉湯治はまんま『按摩と女』『簪』だが、それも嫌みにはならない。 2012年01月10日(火) 『御誂次郎吉格子』(伊藤大輔監督 出演:大河内傳次郎、伏見直江、伏見信子 1931・日活太秦)@神保町シアター 『御誂次郎吉格子』 太鼓がドンドンと腹に響くほど鳴り渡る。あれよあれよと提灯が画面いっぱいにひしめく。舟が傾かんほど、屋根瓦が崩れ落ちそうなほど。目くるめくカッティング。映画は祭り。男の見栄と女の一途を乗せて。終わってしまえば、どうしようもなく切ない。字幕の台詞が癪に障るほど粋だ。鼠小僧次郎吉(大河内傳次郎)が大阪に逃亡する船でお仙(伏見直江)と知り合うまでの冒頭の件がサスペンスフルで息を飲むほど。お仙の財布を狙う坊主、それをさり気なく阻止する次郎吉。それが偽次郎吉の慌ただしい逮捕劇のさなかに、みごとなカメラワークと大胆な編集で描かれる。 2012年01月13日(金) 『君と別れて』 (監督:成瀬巳喜男 出演:水久保澄子♡吉川満子、磯野秋雄 1933・松竹蒲田)@神保町シアター。今週は『非常線の女』に続いて水久保澄子♡二回目、うれしいなあ!劇場はチケツ売り切れ満員御礼。 『君と別れて』 三業地芸者のややうらぶれた姿が画面に微妙な諦念の影を落としている。自らの境遇を嘆く吉川満子と水久保澄子が立ち止まる橋の上の光景。水久保が磯野と訪れる故郷の港町もどこか殺風景だ。そんな中で成瀬が水久保をさまざまな姿、角度、サイズで執拗に追いかけているのが印象に残る。 2012年01月14日(土) 柄本明の流儀。『空がこんなに青いわけがない』(監督:柄本明 製作:相米慎二 出演:三浦友和、夏川結衣、岸本加世子 1993)『ラブ・レター』(監督:森崎東 出演:中井貴一、山本太郎、耿忠 1998)@シネマヴェーラ渋谷 間に柄本明+榎戸耕史監督のトークショーあり。 『空がこんなに青いわけがない』 冒頭からのオフビート気味のはずし妙味のナンセンスなギャグについていけない。渡辺えり子や蛭子能収が出るだけで笑いが起きていたが、そんなおもしろいものか?三浦友和がじょじょに疎外感からクレージーになっていく様がいい。小津に似て小津にあらずとは言い得て妙。 『ラブ・レター』 森崎東はマージナルな場所を探す。そこは、たえず異物が紛れ込む中井貴一が住み働く新宿二丁目やゴールデン街、偽装結婚した耿忠が働く千葉・千倉の外国人スナック、中井の故郷、北海道だ。それを見つめる森崎の眼差しは真剣でやさしい。この映画では、めずらしく直球球を投げている。 2012年01月15日(日) 『人情馬鹿』(監督:清水宏 出演:角梨枝子、菅原謙二 1956・大映東京)@神保町シアター。『風流交番日記』(監督:松林宗惠 出演:小林桂樹、宇津井健、志村喬 1955・新東宝)@超満員のフィルムセンター。先週は30年代の映画ばかり観ていたので、二作とも新しく思えた。 『人情馬鹿』 清水宏が大映と専属契約を結んだ第一作。いかにも大映作品といった暗く沈んだムードを菅原謙二、根上淳ら大映俳優のクールな演技と相まって醸し出す。冒頭キャバレーのペギー葉山の歌を一曲まるまるとらえる長い横移動、角梨枝子がアパートの階段を上がる垂直移動と清水らしい高度な撮影。 『風流交番日記』 戦後十年当時の新橋駅前の交番の物語なら、豊富なエピソードに事欠くことはない。物語での志村喬、小林桂樹、宇津井健、御木本伸介の四人の巡査の描き分けが巧みで気が利く。小林が思いを寄せる都会のお嬢さん安西郷子とズーズー弁丸出しの阿部寿美子の恋愛コントラストがすばらしい。
2011年 11月 09日
8月末から、すっかりブログ更新を怠っていました。
8月9月と相変わらず、銀座シネパトス、シネマヴェーラ渋谷、ラピュタ阿佐ヶ谷、浅草名画座、フィルムセンターで日本映画ばかり観ていました。 10月はテレビ番組のお手伝いをしていたため、一本だけ。 心配事は相変わらず多々なのですが、11月に入り、また映画鑑賞再開です。 8月31日(水) 『昆虫大戦争』(監督:二本松ギララ嘉瑞 脚本:高久進 出演:園井啓介、川津祐介、新藤恵美 他 1968年・松竹 84分)@人もまばらで,夜になると在所も不明なフィルムセンター 『昆虫大戦争』: 南の島に水爆を搭載した米軍機が謎の墜落をする。それを海岸で目撃した川津祐介。なぜか世界に氾濫する昆虫たち。高久進は、これらの謎から骨太で本格的SFミステリーを構築。そして、よもやの超シニカルなラスト。「毒虫はお前だ!」の正義の昆虫学者・園井啓介の気障な言動に痺れる。川津祐介と進藤恵美のへぼい恋愛ドラマと金髪娘との三角関係はボヨヨーンでありましたが、ホテルのスケベな支配人、しかしその実態は東側のスパイ、そしてもうひとりの毒虫、市村ブーちゃんはなかなかグーでした-☆ 9月1日(木) 『893愚連隊』(監督:中島貞夫 出演:松方弘樹、荒木一郎、広瀬義宣他)『くノ一忍法』(監督:中島貞夫 出演:野川由美子、中原早苗、三島ゆり子、芳村真理他)@「映画の日」は関係ないと知ったシネマヴェーラ渋谷 『893愚連隊』: 4ビートのリズムにヴァイブの音が加わり、京都駅で白タク営業をする松方、荒木、広瀬の姿を捉える軽快な幕開け。頭と民主主義を標榜する愚連隊の姿を乾いたタッチで描く。クライマックス後の後日談もネチョネチョ生きる彼らを表現しすばらしい。荒木一郎のすごさに今さらながら脱帽。 『くノ一忍法』: エロ忍術映画の意匠を借りながら、中島貞夫はなにか別の高邁なものを目指しているようだ。舞台美術のような抽象的画面設計や照明、真田幸村と佐助の語り口を借り、忍術や物語を解説する構成、いつもながらの説明過剰の鏑木創の音楽、残念ながらすべてがマイナスに荷担してしまっている。 9月4日(日) 『ときめきに死す』(監督:森田芳光 出演:沢田研二、杉浦直樹、樋口可南子 84年・105分)『カポネ大いに泣く』(監督:鈴木清順 出演:萩原健一、田中裕子、沢田研二 85年・130分)@銀座シネパトス 『ときめきに死す』: 噛み合わないちぐはぐな会話、カットバックでの構図の入れ換え、無機質な別荘の部屋、8ビットのコンピュータ画面、たぶんDX7による劇伴音楽、幾度となく誰彼となく訊ねる沢田研二の「涼しいですか」の台詞のごとく低温度な映画。挿入なき情交をする樋口可南子だけが生々しい。 『カポネ大いに泣く』: 賑わうサロンや派手な銃撃戦のモブシーン、カポネの前で啖呵をきる田中裕子や逆立しナイフを向けるジュリーのアクションのかっこよさは日活時代の清順映画を髣髴とさせる。ショーケンと黒人たちの<浪花節+ブルース>のコラボはけっして完成することはない。大まじめな清順映画。 美男美女さえいれば映画はできる」との監督の言葉に、80年代半ば実現してしまったショーケン、ジュリー、田中裕子共演映画。ただし主人公たちは事件の中では死なない。田中は不意の自動車事故でポップコーンの海に沈み、ジュリーに至ってはフグ中毒死。この辺がいたって清順。 9月7日(水) 『温泉こんにゃく芸者』(監督:中島貞夫 出演:女屋実和子、荒木一郎、殿山泰司、小松方正、小池朝雄他 1970年・東映 87分) 『バカ政ホラ政トッパ政』(監督:中島貞夫 出演:菅原文太、ケーシー高峰、中山仁他 1976年・東映 91分)@シネマヴェーラ渋谷 9月08日(木) 『夢二』(監督:鈴木清順 出演:沢田研二, 毬谷友子他 1991年 128分)『リボルバー』(監督:藤田敏八 出演:沢田研二, 手塚理美他 1988年 115分)@銀座シネパトス 『リボルバー』: 警官(ジュリー)の拳銃が盗まれたことをきっかけにさまざまな人々の人生がクロスし接近する。浮気相手に逃げられ自棄になる小林克也、もてないギャンブル狂の尾美としのりと柄本明、プライドを傷つけられた高校生など、藤田はダメ中年の滑稽と悲哀、高校生の青春の輝きを見事に描く。 『夢二』: 91年に原宿のドームで観て以来なので20年ぶりの再見。『カポネ〜』での田中裕子の役割を毬谷友子が担っていて魅力的。(ふたりとも雰囲気が似てます)お葉役の広田玲央名、遊女の余貴美子も清順映画のモザイクにぴったりはまっている。美術は池谷仙克なのでキッチュ度は抑えられている。 9月10日(土) 「伝・日本映画の黄金時代」(児井英生)「活動屋 児井英生」(永井健児)読了。おもしろさで言えば、前者が圧倒的に面白い。ともかく本人の映画プロデューサー特有の山っ気、駄法螺、与太話感覚が本に横溢しているからだ。ただ児井の映画人生を補完するサブテクストとして後者もとても貴重だと思う。 9月11日(日) 『0課の女 赤い手錠』(監督:野田幸男 出演:杉本美樹、郷鍈治、室田日出男 1974年・東映 88分)『夜叉』(監督:降旗康男 出演:高倉健、いしだあゆみ、田中裕子 1985年・東映 128分)@浅草名画座 『0課の女 赤い手錠』: 次期総理候補の娘を誘拐したちんぴら達。特命を受けた0課の女・杉本美樹は身を挺して娘の救出に。トラウマを背負った郷鍈治の狂獣然たる暴走ぶり!強風が吹き、ゴミが舞い上がるゴーストタウンのような横須賀の街での、室田日出男と郷鍈治らとのクライマックスの対決は圧巻だ。 『夜叉』: 日本海の荒波が寄せる福井の漁師町。入江に大きな太鼓橋が架かっている。その太鼓橋に集まり通り過ぎた人々の物語。背中に夜叉の刺青を彫った元やくざ・高倉健がいしだあゆみにも田中裕子にもこれだけもててしまうのだから、健さんは降旗映画が癖になるはずだ。ビートたけしの小悪ぶりが苦い。 『夜叉』で思い出すのは、「ビートたけしのオールナイトニッポン」高倉健と田中邦衛の会話。健「たけしってのは面白いな。俺たちも二人で漫才の練習をしようか」田中「ダメですよ、俺たち口べたなんだから」ってやつ。 9月14日(水) 『魔界転生』(監督:深作欣二 出演:沢田研二、千葉真一、真田弘之、佳那晃子他 1981年・東映、角川 122分)@夜の大都会、夜のオアシス・六本木はさすがに敷居が高く敬遠し、またもや三原橋の銀座シネパトス。 9月17日(土) 『狂った野獣』(監督:中島貞夫 出演:渡瀬恒彦、川谷拓三、星野じゅん他 1976年・東映 78分) 『やくざ戦争 日本の首領』(監督:中島貞夫 出演:鶴田浩二、佐分利信、松方弘樹、成田三樹夫、千葉真一他 1977年・東映 132分)@シネマヴェーラ渋谷 9月22日(木) 『おんなの渦と淵と流れ』(監督:中平康 出演:仲谷昇、稲野和子他 1964年・日活 116分)@ラピュタ阿佐ヶ谷 『おんなの渦と淵と流れ』: 夫婦の間に横たわる深い性の溝。それに焦燥する英文学者の夫、仲谷昇。戦時から戦後間もなくの夫婦の家の模様が中平らしい筆致で丹念に描かれる。が、前半はやや退屈にすぎる。腫れぼったく、つねに鈍い眼光の妻、稲野和子の感情の起伏の少ない芝居が全体を観念的に支配する。 後半、夫婦が東京の叔父の住んでいた庭に奇妙な像の建つ家に引っ越し、売春婦をやっている娘に食わせてもらっている母・沢村貞子や医学生の弟・川地民夫ら隣人家族が関わりはじめる頃から物語はにわかに活気づく。だが稲野和子のセーラー服姿を見てしまってからでは遅いのだ。 9月24日(土) 『牛乳屋フランキー』(出演:フランキー堺、小沢昭一、市村俊幸他 1956年・日活 83分) 『あいつと私』(出演:石原裕次郎、宮口精二、轟夕起子、芦川いづみ他 1961年・日活 104分)@シネマヴェーラ渋谷。初日の「中平康 -日活デイズ-」にて。 『牛乳屋フランキー』: フランキー堺がガンベルトのような牛乳瓶入れを着て、牛乳配達をするスラップスティック場面はつとに有名。今回は顧客を連れての慰問旅行で、フランキーが中原早苗と唄うシーンのすばらしさと場面転換のさまざまなワイプの多用に感心。最後は牛乳瓶ワイプ!さすが信用の日活映画! 『あいつと私』: 60年の安保闘争(みごとなデモシーン!)を背景に揺れる大学生たちの愛と友情とセックス。(速射砲トーク)中原早苗、(バンビ!)笹森礼子ら女学生たちを見ているだけで充分楽しい。問題はいつ芦川いづみの愛するおでこを見られるか?それは当然嵐の夜の軽井沢でやってくるのだった。 9月25日(日) 「中平康 -日活デイズ-」二日目『黒い賭博師』(企画:児井英生 出演:小林旭、冨士眞奈美、小池朝雄他 1965年・日活 86分)『砂の上の植物群』(出演:仲谷昇、稲野和子、島崎雪子他 1964年・日活 95分)@シネマヴェーラ渋谷 『黒い賭博師』: グラフィカルな背景に縦組みのスタッフ・キャスト名、横組みの監督名。なんてオシャレなタイトルバックでしょう!と思いきや、そこにかかる曲は「自動車ショー歌」の替え歌「賭博唱歌」(笑)!ここからも察せられるように中味もストーリーを追うのもムダなデタラメぶり。旭カーに爆笑。 『砂の上の植物群』: 黛敏郎のチェンバロ風味のバロック音楽に、「稲野和子よ、あなたはバロックだ」と言いたいところだが、稲野和子よ、あなたはマニエリスムだ、難解だ。64年の中平は日活の吉田喜重か?ATGの実相寺か?ここでもまた稲野和子のセーラー服姿を拝顔。うーん、今夜は夢に出てきそう。 9月26日(月) 「中平康 -日活デイズ-」三日目『狂った果実』(撮影:峰重義 音楽:武満徹、佐藤勝 出演:石原裕次郎、津川雅彦、北原三枝他 1956年・日活 86分)『野郎に国境はない』(撮影:山崎善弘 出演:小林旭、鈴木やすし、広瀬みさ他 1965年・日活 99分)@シネマヴェーラ渋谷 『狂った果実』: 長い睫毛の憂愁を秘めた瞳が不幸の予兆を感じさせざるを得ない十六歳の津川雅彦、中平まみ曰く「光る汗がアクセサリーのような」石原裕次郎、優柔不断さがまるで天性のものかのような北原三枝。この三人がクールな熱気でひと夏の物語を結晶化する。中平の才気と熱情が漲るデビュー作。 『野郎に国境はない』: 贋ドル紙幣密造組織を追って、パリ、バンコク、東京へと跳ぶインターポール捜査官、小林旭!フランス語を流暢に操り、女を口説きまくる軽々しさがどこまでも魅力的だ。ほぼ台詞棒読みの敵の謎の女、広瀬みさのクールな色気!前作『黒い賭博師』とストーリーはごっちゃになりそう。 9月29日(木) 『女系家族』(監督:三隅研次 出演:若尾文子、京マチ子、鳳八千代、高田美和、浪花千栄子、中村鴈治郎他 1963年・大映 111分) 『斜陽のおもかげ』(監督:斎藤光正 出演:吉永小百合、新珠三千代、岸田森他 1967年・日活 92分)@神保町シアター 『女系家族』: 船場の大店商人の遺産相続を巡って繰り広げられるしたたかな三姉妹(京マチ子、鳳八千代、高田美和)の権謀術数の狸合戦。さらにそれに古狸・大番頭中村鴈治郎、色悪の踊り師匠、田宮二郎、ばばあ狸、浪花千栄子も好演して加わる。しかし、さらに上を行くのが美しき牝狸、若尾文子だった! 脚本:依田義賢、撮影:宮川一夫(大阪商家の瓦屋根のみごとな俯瞰撮影、ラスト寺の坂道で京マチ子がまぶしそうに日傘を差す撮影のすばらしさ!)そして出演者に京マチ子、若尾文子。えぐいまでの女たちのしたたかな生き方の描出、三隅研次はあきらかに溝口健二を意識しているのだろう。 『斜陽のおもかげ』: 67年、日活が斜陽の道をひた走る時期のいろいろと微妙な作品。太宰治の「斜陽の子」吉永小百合はつねに好奇の目に晒されている。彼女を校門で待ち伏せする週刊誌記者・小池朝雄。「まじめな企画(本?)だから」と小百合を説得、太宰の本妻の子と突撃アポなし対面。やはり朝雄だ。 『玉割り人ゆき 西の廓夕月楼』(監督:牧口雄二 脚本:田中陽造 出演:潤ますみ、坂口徹、中島葵他 1976年・東映 64分)@銀座シネパトス シネパトス3は『ランボー/最後の戦場』以来。やっぱスクリーン小さくて位置高い。そして少々のアンモニア臭も。 『玉割り人ゆき 西の廓夕月楼』: 潤ますみ演じるゆきの玉割り人仕事は冒頭にほんの少しだけ。あとは中島葵と彼女の父を死なせ一度だけ彼女を抱いたもと謡の天才、現在は夕月楼の主人・坂口徹への復讐ともつかぬ屈折した純愛物語が情感豊かに描かれていく。青と赤の鮮烈な色彩設計にドキッとさせられる。 『玉割り人ゆき 西の廓夕月楼』昨年のラピュタ阿佐ヶ谷での牧口雄二特集で見逃したので観に行った。気になっていたのは、登場するさまざまなモチーフが清順監督『陽炎座』『夢二』と共通点が多いこと。たぶん田中陽造は時間の短いこの映画で展開できなかった点をのちの二作で展開したのかもしれない。 10月30日(日) 『山と川のある町』(丸山誠治監督 出演;雪村いづみ、宝田明)1957年・東宝)@神保町シアター 『山と川のある町』 雪村いづみは秋田・横手の肥料問屋、一人娘の高校生の設定(父は志村喬)。先生役の小泉博、宝田明とほのかな接吻シーンもありで、揺れる乙女心を映画は描いている。が、台詞は例のずけずけ、チャキチャキ調でとてもそうは見えない。「ああた」言葉も彼女舌が長いからなのかと納得。 11月1日(火) 『草を刈る娘』(中川信夫監督、出演:左幸子、宇津井健 1953年・新東宝) 『小原庄助さん』(清水宏監督、出演:大河内傳次郎、風見章子 1949年・新東宝)@神保町シアター 二作ともすばらしい! 眠く痺れた頭もデジタル上映の懸念も軽く吹っ飛んだ。帰り際のロビーに川本三郎さんの姿も。 『草を刈る娘』: こういう言い方は適切とは思えないが、とても昭和28年当時の日本映画とは思えない映画全編を覆うヨーロッパ映画のように溢れだすおおらかなエロスはいったいなにごとだろう。大挙しての山の麓での農家の草刈り仕事自体がまるで祝祭空間のようだ。中川信夫演出の力量の深さを思い知る。 『小原庄助さん』: その佇まいがすばらしい旧家の中でいつもどこか居心地悪そうな大河内傳次郎、貞淑な妻、風見章子、代々の味が染みついたお手伝いの飯田蝶子と誰もがぴったりと画に収まる。家の戸外から中まで自在に横移動するカメラワークのみごと。侘びに爽やかが乗じるエンディングが胸にしみる。 11月2日(水) 『緋ぢりめん博徒』(石井輝男監督 出演:中村英子、土田早苗 1972年・東映)@ラピュタ阿佐ヶ谷 『緋ぢりめん博徒』: 土田早苗(ああ『風』くの一・かがり!)をひさびさにスクリーンで観られてよかった、よかった。そんなんで松山容子の『めくらのお市』シリーズや、ついでながら荒井千津子主演の『女めくら 花と牙』をちょいと観てみたくなった次第です。 11月4日(金) 三隅研次監督『子連れ狼 三途の川の乳母車』『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』@新文芸坐 柳生烈堂役、伊藤雄之助つながりで、岡本喜八監督『血と砂』@ラピュタ阿佐ヶ谷 奇しくも勝プロ、三船プロダクション製作つながり。『血と砂』こんなにおもしろい映画なのに受けてたの私ひとり、なぜ? 『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』: シリーズ第一作。アヴァンの真っ白く溢れる光の中を歩む加藤嘉と若君。それを介錯する若山富三郎の登場と前半は三隅演出の格式の高さが目立つ。物語中盤まで冥府魔道に踏み込むまでをフラッシュバックさせる構成の妙。若山の素早くかつすさまじい破壊力の殺陣! 『子連れ狼 三途の川の乳母車』: 二作目にして、いや増すスプラッター度+エロ度、性能大向上の乳母車!拝一刀を追う(あはん♡)松尾嘉代率いる明石の裏柳生女集団そして拝が刺客を受ける弁天来・三兄弟との闘いと物語空間は濃密。砂丘の中で砂塵を受けて繰り広げられるクライマックスに息を呑む。 『血と砂』: 岡本喜八のさまざまなエッセンスがぶち込まれた戦争映画で音楽映画、またはウエスタン。脇を固める喜八好みの佐藤允、厭戦通信士・天本英世、葬儀屋・伊藤雄之介!そして、なによりすばらしいのは曹長、三船敏郎が教育する少年軍楽隊。「俺が教えてるのは戦争だ。殺人じゃない!」いいなあ。 11月5日(土) 第3回船堀映画祭にて『番場の忠太郎 瞼の母 』(稲垣浩監督 出演:片岡千恵蔵 / 常盤操子 / 山田五十鈴 弁士:井上陽一 1931年・片岡プロ)を観る。ゲストトーク(っていうか司会)は目黒祐樹さん、特別ゲストに稲垣監督のご子息で撮影監督の稲垣涌三さん、山本文郎さん。 第3回船堀映画祭、ご近所参加型映画祭とうたっているだけに、そのアットホームな手作り感に親近感が沸く。着いてすぐ、スタッフの方に「清順監督は来られましたか?」と訊いたら「ええ来ましたよ」とデジカメで撮った写真を見せてくれた。来年のチラシ・パンフには制作年、監督名も併記してほしい。 『番場の忠太郎 瞼の母』: 原作を読んでないだけに、なるほどストーリー自体は加藤泰版も稲垣版も変わらないんだなと、斬新でモダンなカットバックや十六歳の山田五十鈴アップの多角度ショット、粋な字幕、巧みな活弁を楽しんでいたら、あっと驚くエンディング。なんとハッピイ・エンドの終幕に驚愕! 11月6日(日) 三隅研次監督『桜の代紋』(若山富三郎主演 1973年・勝プロ/東宝)勝新太郎監督・脚本・主演『顔役』(1971年・勝プロ/東宝)@新文芸坐 天気もよろしくなく、濃さにやられたので本日は二本で退散。 『桜の代紋』若山富三郎の役名:奥村昭夫。それ、どう考えても弟を連想するだろ。 『顔役』、『戦慄!昆虫パニック』に似た感動を覚える。 『桜の代紋』『顔役』ともに音楽は村井邦彦。こと三隅映画において、撮影が牧浦地志から森田富士郎に、音楽がジャジーでファンキー、元祖フリーソウルな村井に代わることで、こんなにルックやテイストが変わるものだろうか。 『顔役』逆にこちらは撮影:牧浦地志、美術:西岡善信、照明:中岡源権、編集:谷口登司夫というベテラン大映京都スタッフによってつくられた勝新スーパー自主映画の趣。巧みにスプリット・インする音の鋭角的処理もすごい。 11月7日(月) 内藤誠レトロスペクティブ『不良番長 王手飛車』(1970年・東映)『男組 おとこぐみ』(1975年・東映)@シネマヴェーラ渋谷。夕方入ったときは、てっきり孤独な映画鑑賞になると思ったが、『男組』のツボでいっしょに笑ってくれた観客のみなさん、ありがとう。 『不良番長 王手飛車』: 赤く褪色したフィルム、ところどころでジャンプ多しは、まだ我慢できるにせよ、(たぶん)一巻まるごとボケボケ、音楽トレモロ状態なる箇所多くさすがに悲しい。特別出演かと思った菅原文太が梅宮の相棒として最後までつきあっている。たしかに白のアルファオープンかっこよし。 『男組 おとこぐみ』: こちらはプリント状態良好。 雁屋哲、池上遼一のマンガ原作を大まじめに、けれん味たっぷりに演出することで、かなり見応えのある、(というか)つっこみどころや笑いのツボ満載の佳作に仕上がっている。舞台の青雲学園は『ドレミファ娘の血は騒ぐ』と同じ場所ではないだろうか? 11月08日(火) 映画女優 香川京子『君と行くアメリカ航路』(島耕二監督1950年・新東宝) @フィルムセンター。タイトルだけでウキウキ。その上、製作が野口久光ときいたら、観に行かないわけには行かないじゃありませんか!おまけに原案は「スーパー・ジャイアンツ」や「ナショナルキッド」の赤坂長義。 『君と行くアメリカ航路 』: これは楽しい-☆ウキウキ、ほのぼの大瀧詠一的気分に溢れるハイカラ・モダンなライトコメディ。洋館の屋根裏に住む風見章子と香川京子の姉妹もチャーミングなら、米国帰りの画家、齊藤達雄のヘタウマ芝居もワンダホー!田崎潤のダンディ、灰田勝彦の甘い歌声にしびれる! ラテンにジャズにハワイアン、当時流行の音楽も香川京子の勤める洋装店のプレタポルテ・ショーでじゅうぶんに満喫。ただし灰田勝彦や曉テル子の歌唱シーン、水着のコンテスト・シーンと天然色になる箇所は黒味になるので脳内補完するしかありません。まったく至極残念です。
2011年 09月 01日
「高崎俊夫の映画アットランダム」を毎月楽しみに愛読している。
前回の『イヴリン・ウォー原作の幻の未公開映画』もよかったが、今回の『原田芳雄、林美雄、そして「サマー・クリスマス」』も涙が出るほどすばらしい。 ともかく、読んでほしくて今日は投稿をした。
2011年 08月 28日
まずは、曽根中生の話。長い間行方不明(?)だった曽根監督が湯布院映画祭に登壇したそうです。
いろいろ不吉な噂のあった曽根監督ですが、なにはともあれ、ご存命でよかった。人生はミステリアスです。 私じつは曽根中生監督の『嗚呼!!花の応援団 役者やのォー』(1976年)に学生時代エキストラで出てるのです。 つぎにいつもどおり観た映画のこと。 ------------------------------------------------ 8月17日(水) 『ナッシュビル』@新宿武蔵野館 いやあ、すばらしい!本当にすごい!今年もまたアルトマンに圧倒された。 冒頭の玉突き衝突事故で起きる大渋滞が映画を象徴している。ビリヤードのように人々が縦に横に斜めに交差し衝突し合う連鎖劇のタフな劇作術。あちこち右往左往するG・チャプリンの行動のように滑稽だが、最後には鈍く重たい一撃をみぞおちに食らう。全編まるでワンショットのよう。 いつもながらアルトマンの映画を群像劇と呼ぶには違和感がある。たくさんの登場人物たちは、S・デュヴァルの小鳥のようにピーチク・パーチクと勝手に糞(伏線?)をまき散らしながら、それらが、出会いや衝突の中で、みごとに回収されていくハラハラ・ドキドキのみごとさに興奮する。 8月18日(木) 『女囚さそり けもの部屋』『仁義なき戦い 広島死闘篇』@銀座シネパトス 『さそり けもの部屋』 地下鉄の中で手錠をかけられ、成田三樹夫の片腕を包丁でぶった切り、渋谷の高架を疾走する梶芽衣子の冒頭!そして極悪の女王李礼仙の登場等々、これまで以上に富んだ設定でアドレナリン値は上がる。が、各シークエンスがつながると意外に精彩に欠けるのは劣悪プリントのせいか? 『仁義なき戦い 広島死闘篇』 シリーズ中、好きな一本。手持ちとフィックスを巧みに絡めた撮影、編集もいい味。北大路欣也と梶芽衣子の純愛が縦軸となりドラマ全体を貫いている。今回はそのあたりを主眼に鑑賞。ラストの急に画質がざらっとし、欣也が銃口を口にあてるゴツッという音が忘れられない。 8月21日(日) 『やくざの墓場 くちなしの花』『さそり女囚701号 怨み節』@真昼のノワール・銀座シネパトス 『やくざの墓場 くちなしの花』 対立するヤクザ組織と警察のずぶずぶの癒着関係の中、はみだし刑事・渡哲也の苦悩を描く。渡自身、西田組の梶芽衣子と恋に落ち、梅宮辰夫と兄弟の杯を交わしたりと話は性急でややこしい。笠原和夫は『広島死闘篇』で書きたかったテーマをここに持ち込んだのだろうか? 『女囚さそり 701号怨み節』 四作目にして長谷部安春に監督チェンジ。さそりイメージ一新(?)、前半部では梶と田村正和のニューシネマ風展開。ただ、このシリーズでは登場人物の家族を出してほしくなかった。細川俊之刑事の妊娠した奥さんとか田村の弘前のおっかさんとか…刑事部下も迫力なし。 8月24日(水) 『好人物の夫婦』(監督:千葉泰樹 出演:池部良、津島恵子)@阿佐ヶ谷ラピュタ 50分のSP映画。来月から、ラピュタ阿佐ヶ谷ではじまる『大番』シリーズの前年にあたる1956年(昭和31年)の作品。 音楽は控えめな伊福部昭、美術は『大番』と同じく中古智が担当している。 津島恵子の売り言葉に「俺は浮気するかもしれないな」と買い言葉で答える夫の池部良。ふたりは人も羨む仲睦まじい夫婦。だから、祖母の病気の見舞いに出かける朝、「ねえ、あなた」てんで熱烈な接吻を交わす。こんな好人物の夫婦を混ぜっ返すのは、だいたい隣人の更年期夫婦なのだよ。 ![]() (写真は、当日夜のラピュタ阿佐ヶ谷) 8月25日(木) 『俺の故郷は大西部<ウェスタン>』(監督:西河克己 主演:和田浩治、清水まゆみ 1960年・日活)@フィルムセンター 守屋浩、平尾昌章、田代みどり、かまやつひろしと、C&W調のカヴァー曲を唄っていた頃のホリプロ関連歌手が多数出演。これが西河克己とホリプロのつながりの端緒かとも思わせる。(影に児井英生ありか?)西河はとても楽しんで、このいなたく泥臭い和製ウエスタンを撮っているようだ。 8月27日(土) 『太陽を盗んだ男』(監督・脚本:長谷川和彦 主演:菅原文太、沢田研二 1979年・東宝 147分)@お姫様たちでにぎわう週末の銀座シネパトス 1時間以上も早く着いてしまったので、前の回の途中から観はじめる。いいシーンがくると、館内がざわめき、溜息が洩れ、キャーキャーと(小さな)歓声が聞こえる。久々に映画を観ていて幸せな気分に浸る。映画が終わり、灯りがつくとジュリーファンのお姫様たちの集団が何組もいた。 8月28日(日) 『天国の日々』(監督:テレンス・マリック 出演:R・ギア、B・アダムス、S・シェパード 1978年・米)@新宿武蔵野館 これが少女の見た幼き日々の回想ならば、すべてが納得できる。子どもの頃、線路はどこまでも続き、黄金色の麦畑は風にそよぎ果てしなく、大道芸師も、イナゴの来襲も、大火事も、辛い日々・楽しい日々、世界はノスタルジー色に美しく染まる。ただし、それは美しい映画とは別物なのだが。 撮影も、音楽も、音響も、ナレーションも申し分なく美しい。けれども、サム・シェパードの眉間に刻まれた深い縦皺のように、どこか私を懐疑深い気持ちにさせるのだった。
2011年 08月 16日
8月3日(水)
『関東無宿』@フィルムセンター ヒロイン伊藤弘子はお化けのような存在。小林旭のいる場所なら、神出鬼没にどこにでも現れる。このお化けに魅入られた旭と伊藤が同一画面に収まる時、物語は茫洋と停滞し画面はぐにゃりと変容する。それにしても、あれだけ旭を慕っていたチーコはどこに消えてしまったのか? 8月5日(金) 『青葉城の鬼』『忍者狩り』@新文芸坐 映画は大映の『大映ニュース」で『浮草』の予告編が観られて、すごく得した気分。 『青葉城の鬼』 重厚にしてシャープ。厳格にしてみごとな陰影の広がる画面。馥郁たる色香がどのカットも伝わる。誰もが思うだろうが、内藤昭の美術がすばらしすぎる。長谷川一夫の円熟、天知茂の狡猾。そして高貴な悲劇性。この頃の三隅研次の演出は冴えてすさまじい。 『忍者狩り』 大好物の忍者映画。蒲生家存続を賭して雇われた浪人たちと闇の蔵人(天津敏!)を首領とする甲賀忍者との光と影の中での壮絶な闘い。ただ四人の浪人に近衛十四郎、佐藤慶、山城新伍、河原崎長一郎と一癖も二癖もある役者を配したのであれば、もう少しシナリオにひねった展開がほしかった。 8月7日(日) 『女番長 野良猫ロック』『女囚701号 さそり』@銀座シネパトス 雨のシャンゼリゼ、銀座シネパトスで梶芽衣子さん映画二本観てきました。 『女番長 野良猫ロック』 新宿西口を舞台とした和田アキ子のバイクと藤竜也運転するバギーとのチェイスは長谷部演出らしく、それなりに迫力がある。が、それ以外はねえ… ゴーゴークラブ(?)で演奏する面々がモップス以外、末期オックス、歌謡GSオリーヴ、売れる前の陽水と場違いもいいところ。 『女囚701号 さそり』 いつ観ても異様にパワフルなエネルギーに満ちた作品。シアトリカルな数々の映像ギミックと俗悪と言っていいくらいのギトギトしたペンキ絵のような極彩色の映像の中で、唯一スタイリッシュでモノクロームな存在の梶芽衣子がなんとも美しい。 8月11日(木) 『ジーンズブルース 明日なき無頼派』『女囚さそり第41雑居房』@八月のエトランゼ・シネパトス銀座 『ジーンズ・ブルース 明日なき無頼派』 殺人代行で得た500万を搔っ払って逃げる渡瀨恒彦と偶然であった梶。二人で丹後に向かって逃げるちょっとホンキートンクな逃走劇。チェックの上下とハンチングの渡瀨、似合わない。レザーのベストとパンツの梶かっこいい☆って、それじゃ題名に偽りありでは? 『女囚さそり第41雑居房』 第一作を上回る伊藤俊也ライクな演劇的映像ギミック、役者に小松方正、戸浦六宏も加わり毒々しい悪趣味性もヒートアップ。女の怨念劇を演じる白石加代子が作品全体をひっぱりすぎの感も(たぶん狙いだとは思うが)。渡辺文雄の義眼に映る梶芽衣子の嬌笑はいらなかったなあ。 8月14日(日) 『清作の妻』@若尾文子目当ての人たちでにぎわう神保町シアター 『小早川家の秋』@小津詣での人々でにぎわう東京の避暑地・ラピュタ阿佐ヶ谷 ![]() (上写真は8月14日のラピュタ阿佐ヶ谷) 『清作の妻』 若尾文子と田村高廣のふたりに寄り添うように単調なクリシェをくり返していたバイオリンとチェロに不吉な太鼓が加わる。その音に清らかなメロディが連なるのは、清作の眼を突き刺した若尾が戻ってきた時。失明した清作とともに畑に出かけ、野を耕す若尾文子の姿が力強く爽やかですらある。 『小早川家の秋』 とことん戸惑う小津映画の一本。最初のうちはカラーでより輪郭の際だった出演者たちの顔や空舞台をまじまじと見ているうちに物語に乗り遅れ、軽口を叩いていた杉村春子が突然泣き崩れるように、こちらの感情も戸惑いっぱなし。禍々しく不吉な黛敏郎のエンディング曲にも多いに戸惑う。
2011年 08月 03日
このところ名画座ばかりを廻っている。
自分でも名画座をつくりたいと思っているから。自分でつくりたいと思っている名画座のオープニング・プログラムは「映画で魅せるジュリーvsショーケン大決戦!」で行こうなんて考えていたら(ほとんど妄想状態)、その半分の「沢田研二特集」を8月から銀座シネパトスでやるらしい。ちょっとくやしい(気もする)。 ------------------------------------------------ 7月27日(水) 浅草名画座で『九ちゃん刀を抜いて』東映設立50周 年記念映画(苦手な降旗監督の)『ホタル』『暴力金脈』の三本を 、観客が一人になるまでみっちり観る。 『九ちゃん刀を抜いて』 岡本一平原作の映画化。とうぜんタイトル バックも岡本の愛嬌のある絵。何をやってもみんなから可愛がられ るものぐさ坂本九ちゃんの大活躍歌謡映画。ラスト大江戸での任侠 ・旗本全員の大合唱に『鴛鴦歌合戦』の残響を見る。沢庵がどう発明されどうビジネス化されたかって話。 『ホタル』 これが東映創立50周年映画だったのか?降旗康男をこれまでなんとなく生真面目な監督だと思って苦手扱いにしていたけど、特攻隊時代の若い頃の役者が、高倉健も井川比佐志も田中裕子も誰一人何の面影もなく似ていない。降旗康男、たんに「生真面目」っぽくみえるだけなのか? 『金脈列島』 白文字のタイトルにあれ?と思ったら、暴力団ではな く松方弘樹が総会屋として、どうやってのしていくかってお話。絵 沢萠子や下品さがたまらなくいい小沢栄太郎、梅宮辰夫らと絡む前半はコミカルに飛ばしていい感じ。ただし池玲子の話がメインとなるシリアスな後半「ええー?」ちょっと! 7月30日(土) フィルムセンターで『怪竜大決戦』(別名『恋する自雷也』おお子 どもの頃に観て以来!)『恋と十手と巾着切』を観る。フィルセン初連チャン。ふだんよりもシニア℃高し。巾着切は「すり」と読む 。 『怪竜大決戦 』 松方弘樹主演の忍術映画(松方は「伊賀の影丸」もやってるし) 、それに敵が大友柳太朗、花を添えるのが小川知子と言えばそれだ けでうれしい。その上、大蝦蟇VS龍+大蜘蛛の特撮対決。けれど 、子どもの時には、見終わってブーイングした記憶が…楽しめたが 今回もその印象は変わらず。 『恋と十手と巾着切』 これは拾いもの!おもしろい!江戸の長屋暮 らしの人々の優しさや機微を軽妙に楽しく活写している。原作(山中貞雄)がいいのか、脚本(野上竜雄)がいいのか。古谷伸の撮影もいい。監督・井沢雅彦(寡聞にして知りませんでした)も66分とうまくコンパクトな物語に仕上げている。 7月30日(日) 『この首一万石』『新吾十番勝負 (第一部・第二部総集版)』@新文芸坐 『この首一万石』 田崎潤と瑳峨三智子があまりにすばらしい同じく伊藤大輔監督の『下郎の首』と比べるべくもないが、これはこれで面白い。タイトル通り の壮絶に苦く悲惨なラストは、美剣士を極めた橋蔵が役者として、 映画として次の局面を考えていたに相違ない橋蔵のフィルモグラフィーを考える上でも興味深く貴重な作品。 『新吾十番勝負 』 めくるめく展開!監督(一部:松田定次、二部:小沢茂弘)も撮 影も音楽も異なる二部を総集版化したものなので、前半と後半のトーンが明らかに異なる。とくに田中春男が登場する後半が、ちょっ と『次郎長三国志』っぽくなるのに笑う。音楽は前半、深井史郎が 圧倒的にすばらしい。 ------------------------------------ ところで名画座巡りをしているうちに、いろんなことが見えてきました。 そのことは、やがてこの場で報告できたらと思います。
2011年 07月 25日
映画ばかりを観ている。要はヒマなのである。
本業の仕事は今年に入ってから、たった一本しかしていない。 だから、恋いこがれるように急かされるように映画を観に行く。 ------------------------------------------------------------------- 6月25日(土) 『X-MEN ファースト・ジェネレーション』@トーホー・シネマズ錦糸町 これは60年代「007」に代表されるスパイ映画世代、特撮映画世代、「サイボーグ009」で育ったのようなマンガ世代にはたまらない映画だなあ。潜水艦、戦闘機などのデザイン、カルダン風インテリアがいい。80年代ビデオアート風のエンディング・クレジットもいい。 6月27日(月) 加藤泰傑作選『炎のごとく』@シネマヴェーラ 封切り以来、30年ぶりの再会。今回の特集でとても楽しみにしていた作品の一本。黒が美しく映える京都の建物空間における芝居の切り取り方のみごとさに惚れ惚れする。一途な愛に生きる倍賞美津子の前半もいいが、後半のきたむらあきこや桜町弘子もいい。菅原文太の前にそろい踏みする親分衆、藤田まこと、大友柳太朗、高田浩吉、遠藤多津朗のシーンはいろんな意味で思わずすげーと思ったけど、いちばんジーンときたのは、暗い台所で、いそいそとかいがいしく食事の準備をする押しかけ女房きたむらあきこの場面。あそこはホント泣ける。 額や頬に滴り滲む汗。どばっと飛び散る鮮血。どしゃ降りの、ときにそぼそぼと降る雨。お決まりの橋の上の雪。そして今回はスローの多用。どれもこれもが過剰。誇張の上に誇張を重ねたカットやカットつなぎもいいなあ。遺作ドラマにして、枯れることを知らない加藤泰は、やっぱすごいと思った。 新撰組を騙されて脱退し、惨殺された国広富之と豊田充里に駆けつけた近藤勇と文太の台詞を遮るように、きたむらあきこが言う「何が美しいです?女が一番美しいのは、好きなお方と添い遂げて、その方のやや子産んで…」こういう台詞を用意する加藤泰はすばらしい。(ほぼネタバレ寸前) 6月29日(水) 浅草名画座で『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』(監督:山下ショーグン耕作 主演:小林エルヴィス旭)『新諸国物語・七つの誓い 黒水仙の巻』(助監督:加藤泰 出演:吉田メフィスト義夫)を観て、歩いて京橋へ。フィルムセンターで森一生監督『怪談 蚊喰鳥 』。増村保造映画でもけっこうな変態芝居を見せる船越英二だが、あらためて按摩役すごいと思った。 7月03日(日) 『嵐を呼ぶ楽団』@ラピュタ阿佐ヶ谷 この頃の宝田明はホント色気のある美青年だなあ。(ちょっといマザコン気味)なんで、高嶋忠夫、水原弘、神戸一郎、柳澤慎一らがジャズ・ミュージシャンかって言うと、ちゃんと後で歌ってくれるのだった。それにしても雪村いづみの不思議! 7月07日(木) 『狩人の夜』『尼僧ヨアンナ』@新文芸坐 『狩人の夜』 河を船で下り逃げる兄妹の幻想的光景は、まるでシュティフター「結晶」のよう。ニセ伝道師・ミッチャムを糾弾する市民の狂気はフォークナーの「サンクチュアリ」の描く南部を連想させる。ギッシュに銃で威嚇されて「ヒャーヒャー」言って逃げるミッチャムのシーンに爆笑(このシーンいい) 『尼僧ヨアンナ』 悪魔に憑かれた尼僧の悪魔払いに訪れる神父の苦悩。一瞬たりとも眼を背けることのできない構図とカメラワークのすごさに圧倒され、つねに緊張を強いる。尼僧院下の俗な旅籠、坂の途中の火刑の木、そして丘の上の尼僧院の舞台設定の見事。聖衣の干された部屋での鞭打ちの美しさと木が軋む音の怖ろしいまでのすごさ! 7月11日(月) 『風の歌を聴け』『哥』@シネマヴェーラ 館は春樹ファンでごった返しているかと思いきや、それほどでもなかった。『風の歌を…』81年冬有楽シネマで観て以来なので30年ぶりの再見。真行寺君枝目当で出かけたのだけど、この映画、主役は赤のキャンバストップのFIATチンクェチェントだった! 『風の歌を聴け』 今見直してみると、当時大森作品で言われていたゴダール的ではないなあ。物語時間のパッチワーク的構成、手持ちなどのカメラワーク、音楽のあて方など、意外なほどクロード・ルルーシュしている。60年代後半から70年代初頭まで、日本で人気の仏映画監督は圧倒的にルルーシュだった。 とは言え、僕・小林薫が最後にジェーズ・バーを去ろうとして階段を降り、ふと見上げると、バーはいつの間にか10年後になっていて、蜘蛛の巣だらけ。そこを風が舞い上がり、床の無数のピーナッツの殻を舞い上げるシーンは映画的に美しい。この映画にはパンフレットがなく、糸川燿史の写真集『ジェイズ・バーのメモワール』をパンフ代わり売っていた。 ![]() 『哥』 監督以下スタッフ、キャストともに「ウルトラQ」「怪奇大作戦」「シルバー仮面」などとまる被りなので、大人版(?)ATG版それとして観ると楽しめます。岸田森は言うまでもなく、雷蔵的篠田三郎や嵐寛寿郎、毛利菊枝まで、どいつもこいつも変態に見えます。 7月13日(水) 日本橋から京橋まで歩く。途中、丸善に立ち寄り新刊コーナーを眺める。佐野眞一「津波と原発」伊集院静「なぎさホテル」に注目。あのなぎさホテルのこと。ちょっぴりうれしく思う。 催事「日本橋きんぎょ市」を眺める。涼しげな金魚かわいい。 フィルムセンターで森一生監督『酔いどれ二刀流 』を鑑賞。高齢者多し。長谷川一夫、若尾文子は集客力がある。中山安兵衛が高田の馬場の決闘を経て堀部家に向かい入れられるまでの話。最後の馬の上の長谷川が若尾のおでこに手をやり「達者でな」という場面に、思わずジーンとしてしまう。 その後の待ち合わせまで時間があったので、7階展示室に初めて入り「映画パンフレットの世界」を見る。1920年代映画館が独自に出していたパンフがすばらしい。とくに村山知義の葵館、竹久夢二、武井武雄が表紙を描く芝園館プログラムに感動する。 7月17日(日) 痛い腰を無理して、雷蔵の命日なのでフィルムセンターで『ある殺し屋』その後、楽天地シネマズで『大鹿村騒動記』を観る。 『ある殺し屋』 雷蔵の寡黙な魅力もさることながら、成田三樹夫のクールなユーモア、野川由美子の図太い逞しさ(増村脚本のせいか?)とスリーピースバンドのようなアンサンブルがすばらしい。時間構成もかなり凝っていて、もしやロールの順番を掛け間違えたのでは?と思うほど。明け方の墓地のシーンは秀逸! 家の古いアルバムに一枚の写真がある。真ん中にうちの父、左隣に侍姿の市川雷蔵、右隣に丸井太郎が写っている。父が旅行で大映京都に行った時に撮ったものらしい。当時撮影所は見学者にそんなサービスをしていたのだろう。父はバイクの背に私を乗せて、大映映画に連れて行く大映ファン・雷蔵ファンだった。 『大鹿村騒動記』 『ツィゴイネルワイゼン』あれから30年。原田芳雄も大楠道代もずいぶん年をとった。岸部一徳もお腹がでた。けれども、それぞれ子どものように演じる三人がいい。それを少し控えめな視線で捉える阪本順治も悪くない。だからこそ、原田を俯瞰気味におさえたアップ2カットがいきる。 7月18日(月) 『デンデラ』@シネマ楽天地 しらじらしいCGの雪だとか『十三人の刺客』の牛のCGにも匹敵する熊の襲撃シーンのしょぼさとか細かいことはさておき、浅丘、草笛、倍賞といった主要人物以外のキャラがあまりに掘り下げ不足。中盤以降テーマは拡散し、物語は混乱するばかり。ルリ子走らせてはいかん! 7月19日(火) 帰りの総武線の中で前の男性が広げる夕刊フジの見出しで原田芳雄の急死を知った。『大鹿村騒動記』のラスト、テンガロンハットを目深に被り空を見上げる原田芳雄の何もかも許したような寡黙でやさしい表情のアップが本当に印象的だった。残念でならない。 7月24日(日) 銀座シネパトスで『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』(藤田敏八監督 出演:渡哲也、原田芳雄、梶芽衣子)『反逆のメロディー』(澤田幸弘監督 出演:原田芳雄、佐藤蛾次郎、地井武男、梶芽衣子)阿佐ヶ谷ラピュタで『ハイハイ3人娘』(佐伯幸三監督 出演:中尾ミエ、伊東ゆかり、園まり)を観る。 『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』 藤田敏八流のちょいルーズ&ダルの演出に適度にセンチメンタリズムがトッピングされ心地よい。最後の敵陣地に乗り込んでの銃撃戦から操縦できないヘリコプターに乗り、約束の金をバラ撒き、団地の間を低空飛行するニューシネマぶりが70年代のはじまりを暗示させる。 『反逆のメロディー』 70年代初頭の工業都市。没落・変革するヤクザ組織と台頭する大企業そして警察の三つ巴の力関係の中での蠢く原田、地井たちをハードボイルドに描く。原田と佐藤蛾次郎(ゲバ作!)の逢瀬の師弟関係が滲みる。 『ハイハイ3人娘』63年、まだそれぞれアメリカンポップスのカヴァー曲を唄っていた頃のスパーク三人娘の中尾ミエを中心に据えた青春ラブコメ・ミュージカル。歌に踊りにギャグにと、その後「隠し芸大会」で開花する中尾ミエの芸達者ぶりが楽しめる。 ------------------------------------------------------------- 以上はtwitterログからのほとんどコピペです。 こう書いていると、最近の私は「名画座」というものを自分でやりたくなってしょうがありません。 正直言ってしまうと、私にはもう新作映画などいらないのです。 毎日、20年代から80年代の数々のまだ観ていない映画を観て暮らしても、残りの人生はじゅうぶんに過ごせるのです。 だったら、自分の好きなプログラムを組んで名画座をやってみたい。 そんなことを夢想する2011年夏の日々です。
2011年 06月 21日
去年の今ごろ、このブログの七年目にあたってこんなことを書いた。
--------------------------------------------------------- この世に絶対だとか永遠だとかはないと思っている。 ---------------------------------------------------------- もうあれから一年。 このブログも八年目に入りました。 この前書いたような事情で、ブログ左欄:My Profile My Works and…☆のプロフィール・リンク、個人サイト「レコード物語」、My MUSICなどを置いていたサーバがなくなり、そのまま放置状態でしたが、本日すこしリンク先を変更したり、削除したりしました。(昨年末の状態で、会社のサーバ上のデータがなくなるだろうことは承知していたのですが、それらをすべて回収し別のサーバに置くという努力を怠っていたのです。)「レコード物語」など残念ですが、致し方ないです。 さて、じめじめと蒸し暑い日が続いています。昨夜はその上に、蚊に両手の平を刺され、痒くてなかなか眠りにつけませんでした。(まるで泉昌之のマンガ「かっこいいスキヤキ」みたいです)けど、今年はうかうかエアコンも入れようという気持ちにもなれません。 Twitterでは、あいかわらずつぶやいておりまが、本家のここが留守がちで申し訳ありません。 八年目、今後ともよろしくお願いいたします。 ノスタルジアから遠く離れて 追記:勝手ながら、リンクなど不備がありましたら、ぜひお知らせ下さい。 田旗 浩一(月本夏海)
2011年 06月 20日
6月18日(土)
加藤泰傑作選『江戸川乱歩の陰獣』『幕末残酷物語』@シネマヴェーラ 両作とも大友柳太郎が出ていて、『陰獣』では香山美子の旦那、『幕末…』では新撰組・山南敬助。そんで、二作とも無惨にも殺されてしまう役柄だった。 『江戸川乱歩の陰獣』まずスタンダード・サイズの上映に驚いた。以前観た時はたしかビスタだったような気がする。構図はたしかにスタンダードを意識したに相違ないシンメトリーが多用されてる。調べたら樋口尚文「ロマンポルノと実録やくざ映画」にそのことが書かれているらしいが、本を家の中探しても見つからない。たしか以前購入したはずなのに。 『幕末残酷物語』池田屋事件以降、殺戮集団と化した新撰組のグロテスクと陰惨を描く。が、大川橋蔵と藤純子のうぶな恋愛がこの映画をぎりぎりで救っている。二人のシーンに流れる林光の音楽がいい。軽めのクラリネットとギターの奏でるフレーズが、一歩間違ったら『僕の叔父さんの休暇』のようだ。 6月19日(日) 加藤泰傑作選『怪談 お岩の亡霊』『緋牡丹博徒 お竜参上』@シネマヴェーラ 思いもかけず、非情の悪党、田宮伊右衛門とシルクハットの愛くるしい熊虎親分という、若山富三郎の九年間の隔たりの歴史を見る結果となってしまった。 『怪談 お岩の亡霊』若山富三郎の伊右衛門、非道な奸策を企てているには、あまりに内面がない。(それが悪いというわけではないが)ひたすらワイルドでバイオレントで、その上むさい伊右衛門つうわけで、なぜお梅が一目惚れしちゃうのか?最後の仇討ちも、なぜに敵でもない人と斬り合うの?なぜ、金貸し・お梅一家はわざわざ伊右衛門の隣に引っ越すの?とか、いろいろ突っこみどころ多き映画なれど、近衛十四郎の悪役の妙味、加藤泰ならではの仰角アングルの大迫力、「遊侠一匹」と同じく櫛が重要な小道具になっていること、桜町弘子のいつかどこかで見たような白装束の仇討ち姿など、やはり満足するのも多々だった。 『緋牡丹博徒 お竜参上』前回この映画をいつどこで観たかさえ思い起こすことができない。有名すぎるほど有名な今戸橋の菅原文太との雪のシーンは抽象的な映画美の極み。常連の沢淑子や汐路章の役どころの楽しみ。けど、実は「緋牡丹博徒」シリーズがそれほど好みではなかったりするのでごめんなさい。
2011年 06月 12日
加藤泰傑作選『沓掛時次郎 遊侠一匹』『浪人八景』@シネマヴェーラ
大満足の二本立て。『遊侠一匹』は1980年文芸地下オールナイトで『関の弥太ッぺ』『瞼の母』などといっしょに観て以来。『浪人八景』ははじめて観た。 『沓掛時次郎 遊侠一匹』すばらしい。まったくしみじみ惚れ惚れする。ともかく中村錦之助がいいとしか言いようがない。この頃の錦之助は、『瞼の母』といい『関の弥太ッぺ』といい圧倒的だ。どこかに寂しさを漂わせた台詞のエロキューション、そして、それとは対照的な立ち回りの芝居のすごさ。画面に吸い込まれる。 暗闇にはらはらと雪が降っている。「どうしてるかなあ…」と錦之助が旅籠の女将に、気にかかるおきぬ親子との出来事を友だちの話として語る長いワンカット。そこに門付けの三味線が聴こえる。急いでその音を頼りに表に飛び出す錦之助。そして錦之助とおきぬ親子の三人をとらえた雪の中の縦の構図。もう滂沱の涙である。 『浪人八景』けっして加藤泰っぽくはないが、これもいい。右太衛門主演の小粋であでな明朗時代劇。箱根で堺駿二、長谷川裕見子、藤田進と知り合い、偽夫婦を演じながらの江戸まで道中がとりわけ楽しい。長谷川裕見子がかわいい-☆彼女の場面場面の着ものも見どころ。衣裳考証が甲斐庄楠音だから!そう言えば、この前の『炎の城』の衣裳考証も甲斐庄楠音だったなあ。40年代〜50年代の甲斐庄は溝口健二の諸作といい『大菩薩峠』といい、いい仕事している。
2011年 05月 17日
先週の金曜日TBSラジオ「小島慶子 キラ☆キラ」を何気なく聴いていたら、水道橋博士のコーナーが、藤圭子、宇多田ヒカル親子の共通パターンという話で、石坂まさをの本『きずな』のことを語っていた。…ん、あれ?
その要約の仕方と抜き出し箇所が、以前私の書いた「藤圭子 演歌の星を背負った宿命の少女の物語」の前半部分とあまりによく似ているので驚いてしまった。 「小島慶子 キラ☆キラ」5月13日(金)オンエア。 水道橋博士 ペラ☆ペラ:石坂まさをさんの「絆」という本について。
2011年 05月 01日
今さっきも軽い(?)地震が起きた。日々余震や地震が起きている。
半ばそれに慣れ、半ば不安をあらたにする。 以下は、ナショナル・ジオグラフィックが製作した「 Witness Disaster in Japan」という番組。 テレビやネットで見た映像もあれば、はじめて眼にしたものもある。よく集めよく編集したものだ。あの日の体験の怖ろしさが、何万倍以上にも増幅されて伝わる。今でもまさに言葉にならない。 National Geographic “Witness Disaster in Japan” (追記:上記映像はYouTubeから削除されたのでリンクを外しました) そしてラジオ批評ブログ「僕のラジオに手を出すな!」では「地震発生の瞬間のラジオ」というタイトルで、関東ラジオ局の各パーソナリティたちの地震発生時の対応とその模様をYouTubeから拾い紹介している。 そのリンクをそのままここでは掲載させていただきます。 「小島慶子キラ☆キラ」(TBSラジオ) 「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送) 「上柳昌彦 ごごばん!」(ニッポン放送) 同時にその時の各テレビ局の模様もマルチ・チャンネルで紹介している。こちらもまた別の意味で絶句し言葉にならない。 東北地方太平洋沖地震発生時の全テレビ局同時マルチ映像 風邪が一週間経っても、なかなか快方に向かわなく困っている。
2011年 04月 25日
僕は(あ、私でもオレでも、オイラでもいいんですが)その日の朝、渋谷の246沿いにあるビルの6階の事務所から、大学時代の友人Iに電話をしていた。
明日の夜行われるはずのもう20年以上も会っていない大学時代の同じサークルの友人たち三人との会合を断るためだ。 2月に毎年恒例のサークルの同窓会が開かれ(私は一度もこの会に出席していない)当時同じ地域に住んでいたAが、僕のことを気にかけ、今度IとJも含め4人で会おうということになったのである。その予定が3月12日だった。 だいたい去年から、なにひとつろくなことがない。簡単に書き記せば、昨年3月に僕の所属する会社の、その時の主要取引先が倒産した。売掛金は5〜6千万。社員数(僕のような契約も含め)10人に充たない零細企業には大打撃である。9月末には、僕がレギュラーでやっていたCSの番組がついに打ち切りになった。僕はこの番組の売上げから自分の禄を上げていたので、個人的大事件だ。会社はもう2年も前から、極端に売上げが減少していたので、昨年からはいつ潰れもいいような状況が続いていた。(こういう状況下ではなんの打つ手もなくなるんです。)そして、ついに10月下旬をもって僕のようなフリー契約のディレクターとプロデューサーが契約打ち切り、12月半ばにCGチーム解雇、12月下旬にその他の社員全員解雇。明けて1月には会社は倒産手続きに入った。 こうして私は(この歳にしてふたたび)流浪のフリー・ディレクターになった。ともかくリーマン・ショック以降、この業界の景気はまったくもって思わしくない。ここ数年から今年に至っても、バタバタと制作会社や配給会社が倒れていく。僕は映画のメイキングをやったり、テレビ番組の編集手伝いをやったりしながら、なんとか年内をしのいでいた。今年に入って、やっと決まったDVDの編集仕事のために、新しくできた渋谷の事務所に、3月の頭から入っていた。それが冒頭の246沿いの事務所のことだ。 とあれ収入不安定、精神状態同じく不安定。その上、新しく決まった仕事はヘヴィで休み返上の覚悟。だから、僕は友人たちとの会合を断る電話を、朝の十時過ぎに入れていた。けっきょくはIに説得されて、翌日には出席することにして、電話を切った。そうして、慣れない場所の慣れない編集仕事に(ダラダラと)向かっていた午後2時40分過ぎ地震は起きた。これまで体験したことのない大きな揺れだった。 周りにいた二人はしばらく「大きいぞ」と叫びながらも呆然としていた。オレは、机の上の大切な仕事道具MacProとRaid HDDを両手で押さえ守っていた。2分ぐらい続いた揺れがおさまった後、先に外に出ていた二人を追ってオレも外に出た。旧・東邦生命ビルがゆさゆさとまだ大きく揺れている。隣のビルの看板が道路に落ち飛び散っている。周りは怖れおののく人々でいっぱいで、口々に今のショックと不安を話している。その時は、津波があんな大被害を出しているとは想像もつかなかった。 それから事務所に戻り、PCからradikoを立ち上げ情報を追った。(事務所にはテレビもラジオもなかった)その日から撮影の始まっていた同僚のプロデューサーは現場と懸命に連絡を取っていたが、いっこうに電話はつながらなかった。3時から打ち合わせ予定のスタッフからは、山手線の中に閉じこめられているとメールが入った。けっきょくその日は仕事にならず、radikoからの地震情報を追っていた。 打ち合わせスタッフはなんとか夕方過ぎにやってきて、打ち合わせが行われたのは大したものだ。そして、事務所からは誰もいなくなり(みんな歩いて帰っていった)、オレはひとりradikoを聴きながらtwitterのタイムラインを憑かれたようにずっと追っていた。気になることはいつ家に帰れるかだ。ひとりこんなぼろい事務所で朝まで過ごしたくないから。9時過ぎには都営線のいくつかが復帰していた。後は東京メトロがいつ復帰するかだ。12時を廻ると半蔵門線が復帰。それと都営新宿線を乗り継いで家に帰った。半蔵門線は復帰したばかりだったので、さほど混雑はしていなかったが都営新宿線がたいへんだった。各駅で約10分程度停まる。そのたびにたくさんの乗客が乗り込み、車内はぎゅぎゅうの酸欠状態。それでも混乱やパニックが起きず、乗客全員がおとなしくしていたは、その日起きた大災害の日本での深刻な被害を把握していたからに違いない。 深夜2時過ぎに家に帰ると、意外なほどいろんな物が散乱していた。(家はたいした物を置いてないので、さほどのことはないと高をくくっていた)食器類がキッチンの床に散乱し、液晶モニターが机の上から落ちていた。ガスが止まり、トイレの水洗が壊れていた。ベランダの床にひびが入り階下に水漏れしていることがわかり修理がすんだのは、ついおとといの話だ。まあそれでも大した被害ではない。 しかし、困ったのは地震以降の日々である。翌月曜日からはいつものように仕事に出かけた。(多くの企業は翌週を休んでいるところが多かった)影響で締切日が一週間ほど延びたが、あまりうれしくも感じられない。毎日のように余震が続き、仕事に集中できない。その上、原発事故である。毎日が不安で船酔い状態のようだ。一日を仕事をするより、憑かれたように、今どこかで何かたいへんなことが起きているのではないかとtwitterを覗く時間の方が多かったと思われるほどだ。 それから一月以上が過ぎ、やっと映画を観に行く余裕は取り戻した。事務所の近くの渋谷東急で『塔の上のラプンツェル』を、その土曜には浅草名画座で『仁義の墓場』と『鬼火』を観た。 なんとか先週の金曜日、納品をすませ渋谷での仕事は終わった。また、新しい仕事を探さなければならない立場になってしまった。業界の状況は震災後さらに悪化している。 今日は風邪をひいてしまい、朝から寝込んでいる。それも退屈なので、起きあがってぼっとしながら記憶を追って、これを書いている。 地震以降、自分のからだに嫌な変化が起きた。ときどき耳鳴りがするのだ。耳の奥、頭の奥で「じー」と蝉が鳴いているような音が聞こえる。この耳鳴りは一日中続く。ひどい時は二日も続く。気にしなければいいのだけど、やはり気になる。ちょっと憂鬱になる。リラックスしてゆっくり寝られた朝は、おさまるみたいだ。 船酔い気分はまだ治らない。でも、それはじっさい余震だったりする。子どもの時から、バスや船に弱かった。昔から三半規管がダメなんである。 あ、それで地震の翌日に予定していた20年ぶり以上の友人との会合はどうなったか書いておこう。地震の日の午後、Iから、じっさい場所を調達しているというJからのこんなメールが転送されてきた。 「申し訳ないm(__)m、急なんけど出張になってしまいました。今週末日本に居られなくなったので …というメールがJから来ました。田旗もちょうど忙しい時だったからまた日を改めましょう。近々に。」 ちぇ!バッカヤローふざけんな、オレが電話しなくたってけっきょくもとから会合はなかったんじゃないか!! ついでにバッカヤローふざけんな、地震!!
2010年 11月 06日
藤圭子の母、竹山澄子さんが4日お亡くなりになった。ある意味藤圭子の、さらに拡大解釈をすれば藤・宇多田親子の音楽のルーツでもある。スポニチの記事を少し引用する。
---------------------------------------------------------------------------------- 歌手宇多田ヒカル(27)の祖母で、藤圭子(59)の母親の竹山澄子(たけやま・すみこ)さんが4日午後5時30分、肝臓がんのため都内の病院で亡くなった。80歳。藤の幼少期には流しで全国を一緒に回った。20年ほど前に金銭トラブルが生じて以降、藤とは絶縁状態で、病床で「娘と孫に会いたい」と寂しがっていたという。 娘の藤と絶縁したまま、孫の宇多田とは歌手になってから一度も会えずに、無念の最期となった。 ---------------------------------------------------------------------------------- 石坂まさをの『きずな』(1999年・文藝春秋)は、母子の「きずな」を複層的に描いた本である。複層的というのは、石坂本人とその母(実母ではない)の物語と、藤圭子と流しをしていた盲目の母、そして宇多田ヒカルとその母である藤圭子の物語が、ある種それぞれ似姿のようにだぶって語られていくからだ。 この本が書かれた1999年という時代を考えるとき、とりあえず物語が、当時、宇多田ヒカルが、そのファーストアルバム『First Love』を日本で800万枚以上の、国内アルバム売り上げ史上最大の超メガヒットをさせていた時期ゆえに、宇多田ヒカルをこれから必死に売り出そうとしていた藤圭子と宇多田母子のエピソードからスタートするのは、やむを得ないのかもしれない。 平成4年(1992年)の夏、作詞家・石坂まさをに一本の電話が入る。申すまでもなく、石坂まさをは、藤圭子の代表曲『新宿の女』『女のブルース』『圭子の夢は夜開く』『命預けます』の作詞ばかりでなく、彼女のマネージャーとして歌謡界に送り出した人物である。 その電話からの声を石坂は、こう表現する。「電話の向こうの声は太いけれど、相変わらずなめらかなビロードのような艶やかさで、憂いを含んだ話し方も昔のままだった」 声の主とは、もちろん藤圭子であり、彼女は明日会えないかと、何年も会っていない石坂に、まるで昨日別れたばかりの友人のように切り出す。そして、翌日青山のホテルで会ったのは、藤圭子と彼女の夫で音楽プロデューサーの宇多田照實と、まだ9歳のヒカルである。圭子は、石坂にヒカルの歌をぜひ聴いて欲しいと迫る。圭子はヒカルがいかに天才であるか、熱弁をふるい、一本のデモテープを石坂に差し出す。その隣で、ヒカルは無心に漫画を読みふけっていた、という表現が、その後の物語のちょっとした余韻になる。石坂は、そのテープを受け取ることができない。 まもなく、石坂は売れない作詞家時代での、はじめての藤圭子との出会いに回想をめぐらせていく。 昭和43年(1968年)に、石坂のもとに、石坂の弟子だった男性歌手が17歳の少女を連れてきた。ここでも、少し本から引用する。 「少女の名は阿部純子。十七歳。肩まで垂らした長い髪と、日本人形のような丸くて色白の顔に黒くて太い眉が印象的だった」 すでに、このシーンで私たちは、翌年『新宿の女』でデビューし、その翌年には、同曲の他に『女のブルース』『圭子の夢は夜ひらく』『命預けます』を大ヒットさせた歌手・藤圭子のみごとなまでの素描に出会うのである。 同時に、石坂はその面差しとは似ても似つかない、太くてドスのきいた彼女の声に驚き、彼女に曲を唄わせる。ギターをポロンと奏でながら純子が唄うのは、『星の流れに』そして『カスバの女』である。 ここで、石坂は唸ってしまう。私もこの本のこうした開闢にやはり唸った。 『星の流れに』は、敗戦直後、街に立ち春を売る女たちの哀しい心情を唄ってヒットした歌であり、『カスバの女』もやはり、明日なき外人部隊の兵士たち屯する酒場で、春を売る女が刹那に兵士に恋して歌う、今では無国籍歌謡と言われてもしようがないキャバレー歌手出身の竹越ひろ子が67年にヒットさせた挽歌の傑作であるからだ。(本歌はエト邦枝) ちなみに、竹越は力道山の経営していたクラブリキの専属シンガーだった。 こうして、石坂は藤圭子を預かる羽目になるのだが、この時、石坂はまだ、藤圭子の存在をうまく咀嚼できていない。彼の肩を叩いたのは、その様子をとなりの部屋で聞いていた石坂の母である。それでも、石坂は少女の生い立ちや育った環境が気になってしまう。 ご存じのように、圭子の父は浪曲師であり、母親は盲目の三味線弾き。その両親のもとで、少女は早くから北海道を流して暮らしていたのである。早い話、ドサ廻りの「門づけ」である。(私はすぐに鈴木清順の映画『ツィゴイネルワイゼン』で麿赤児らの演じる門づけの姿を想像してしまう) 翌日、少女から石坂に直接、電話が入る。今度は彼女の両親とともに会って欲しいのだという。ここで、少女の両親や育った過酷な環境が描かれる。純子の歌のおかげで、一家は何とか旭川に家を構え、そうして彼女を歌手にするために上京してきたのである。しかし、父親はどこかふて腐れ、熱心に純子を売り込むのは、母澄子だ。(ここにも、これが母子の物語であることが強調される。) 石坂は、少女を育てる決心をする。そして、阿部純子は「藤圭子」になり、石坂自身も本名の澤ノ井龍二という名前を「石坂まさを」に変える。 ここまでが、第1章。第2章は、石坂の生い立ちの話に振り当てられ、第3章は、石坂が作詞家を決意し、なんとか自立するまで。いよいよ第4章からが、藤圭子を売り出すまでのストーリーになる。 ☆ これを読むまで、石坂にまつわる知らなかった話も多く、その点に興味が惹かれるが、話が急展開するのは、ここからだ。 じっさい、藤圭子のヒット曲の誕生秘話がかなりおもしろい。たとえば、『新宿の女』の有名な1フレーズが、友人の作詞家からの借り物であることや、藤圭子の濡れたような瞳と白い肌を際だたせるために、選んだ黒のベルベットのパンタロン・スーツ、そして印象的な白いギター。(当初はメタリックシルバーのギターにする予定だった。)石坂や彼女を支援する人間として、林家三平も登場する。石坂の考えた極めつけは、藤圭子のキャッチコピー「演歌の星を背負った宿命の少女」である。このフレーズに、彼女の生い立ちや育った環境が凝縮されている。石坂は、彼女の過酷だった「過去」も含めて売り物にする決心を固める。『新宿の女』をヒットさせるまでの異常なまでのな石坂の奮闘ぶりがすごい。 こうして、70年に入りやっと『新宿の女』がヒットすると、後は転がる石の勢いである。しかし、藤圭子のバイオグラフィーを辿ると、実質的に彼女が、次々に大ヒットを飛ばし、彗星のごとく輝いていたのは、70年と71年のたった二年でしかないことに、私たちは気づくはずだ。 藤圭子の第2弾は『女のブルース』。 女ですもの 恋をする 女ですもの 夢に酔う 女ですもの ただ一人 女ですもの 生きてゆく オリコン初登場で、いきなり第一位となる。 そして第3弾『圭子の夢は夜ひらく』紅く咲くのは けしの花 白く咲くのは 百合の花 どう咲きゃいいのさ この私 夢は夜ひらく ここまでを石坂は、念願の「紅白」出場を願って、ほぼ即興でつくったという。その2番も手間なく仕上がったという。 十五 十六 十七と 私の人生 暗かった 過去はどんなに 暗くとも 夢は夜ひらく まさに、藤圭子の人生そのものである。同時にそれは、石坂の人生ともオーバーラップする。3番をつくったところで、藤圭子は石坂にこんな感想を洩らす。「先生、これなんだか古臭いんじゃない?」どうしたらいい?と石坂は、圭子に聞くと 昨日マー坊、今日トミー と歌い出したというのだ。これは知らなかった。続けて、石坂がそれ以降をつくっていった。 明日はジョージか ケン坊か 恋ははかなく すぎていき 夢は夜ひらく 『圭子の夢は夜ひらく』と『女のブルース』は、ヒットチャートの一位と二位を40数週間独占した。歌謡史上かつてない快挙である。 思うに、藤圭子の歌の魅力とは、どこか捨て鉢な、なげやりなところにある。ふたりの出会いで歌われた『カスバの女』が、それを象徴している気がする。 『カスバの女』(作詞;大高ひさを 作曲:久我山明) 涙じゃないのよ 浮気な雨に ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ ここは地の果て アルジェリア どうせカスバの 夜に咲く 酒場の女の うす情け つねに、藤圭子の歌には、この「どうせ」という刹那なムードが漂っている。 思わぬところから、応援が入る。作家の五木寛之が「ここにあるのは<演歌>でも<援歌>でもない。これは正真正銘の<怨歌>である。」と70年6月7日の毎日新聞日曜版に「艶歌と援歌と怨歌」という記事で書いたのだ。(現在角川文庫『ゴキブリの歌』に所載) まさに、藤圭子の人気は破竹の勢い。 しかし、そうした事態をもろく崩すさまざまな問題が発生する。(が、ここでは詳しくは触れない。)もう、石坂一人の手には負えなくなってきていることを自覚するのだ。 ☆ 石坂まさをは、藤圭子のマネージャーをやっている間、彼女以外に歌を書かなかった。しかし、社会現象にもなってしまうほどのすさまじいまでの人気ぶりに、自ら怖じ気づく。また本文から引用する。 「私は自らがつくりだした「藤圭子」の虚像に恐れを抱くようになってしまっていた。阿部純子という少女を「藤純子」として売り出すことに成功したのだから、もう私のマネージャーとしての役目は終わっている。藤圭子が「演歌の星を背負った宿命の少女」なら、その星は、やがて流れて消えていくのも宿命でなければならない。人の手でつくられたものが永遠に輝けるはずないのだ」 石坂は、五木寛之の小説『艶歌』のモデルにもなった日本コロムビアのディレクター、馬淵玄三の言った言葉を思いだす。 「歌手を長生きさせるには、レコードを30万枚以上売らないこと。30万枚を越したら、出荷をストップさせるのだ」という言葉だ。にわかには信じられないが、たしかに異常人気を得てしまったゆえに、そのプレッシャーや、そこに生まれてしまったその虚像から苦しみ、いつの間にか消えていくさまざまな歌手の末路を、私たちはまったく知らないわけではない。 藤圭子も、またデビューからたった一年、たった3枚のシングルで、彼女の人生までも「売り物」にして社会現象ともなり、スターダムにのし上がったのだ。もう一度、本文から引用する。 「もう「藤圭子」の命は私の手に負えなかった。自らがつくりだした虚像であるならば、私の手で葬り去るしかない。私は、この歌で「藤圭子」を殺そうと思った。時代のなかに「藤圭子」の命を預けてしまえば、時代はかならず審判をくだしてくれる。」 そうしてつくられたのが、第4弾の『命預けます』である。『命預けます』 命預けます 流れ流れて 東京は 夜の新宿 花園で やっと開いた 花一つ こんな女で よかったら 命預けます 石坂の切実な思いが、じつによく伝わってくる。 ここで、石坂が手がけた藤圭子の曲をおさらいしておくと、69年9月発売の『新宿の女』から70年10月の第5弾『女は恋に生きてゆく』、71年になり2月に『さいはての女』、5月『恋仁義』、そして71年10月の『知らない町で』まで、9枚のシングル中、そのA面の8枚の作詞をしている。そして、1972年1月の『京都から博多まで』の作詞は、石坂から阿久悠にバトンチェンジされる。これは、なんだかとても象徴的なできごとである。阿久は、自分の書いた歌詞に一度も「どうせ」という言葉を使わなかったという。 71年、第6弾の『さいはての女』からは、藤圭子のシングルの売上げが極端に伸び悩んでいくのだ。あるいは、藤圭子のヒット曲のすべてが、1970年に集中していると言ってもいい。その凋落をファンに気づかせずにすんだのは、歌手・前川清との結婚と、一年後の離婚騒動によるものかもしれない、と思ったりもするが、私個人としては、まあ、それはどうでもいいことである。 「人類の進歩と調和」をスローガンにした大阪万博が、華々しく開催され、それが大成功を収め、日本のGNPが世界二位まで成長し、まばゆいばかりの未来への光が満ちあふれていたはずの1970年という時代は、東京オリンピックの次に迎えた日本の大きな変節点である。この時代くらいから、地方の過疎化が進み始める。すべては、経済第一主義で進行してゆく。隠花植物のように暗く輝く藤圭子のような歌手が活躍できたのは、そうしたものが次々に葬り去られ、忘れ去られてゆく70年だったからこそ、ともいえるかもしれない。 あのふるさと発見の「ディスカバー・ジャパン」のブームさえ、広告代理店と国鉄という大企業が手を組んでつくった巨大な観光事業にしか過ぎなかった。 だが、とりあえず時代に感傷的になるのはやめておこう。 歌謡界では、歌手の過去の不幸を売り物にして、その歌手を世に送り出したという歴史はそれまでにも多くある。たとえば、こまどり姉妹。 そして、藤圭子の後には、山口百恵などもそのケースになるのかもしれない。だが、「一億総中流」を迎えた80年代には、歌手にそうした売り物手段は必要なくなってくるのかもしれない。 いずれにせよ、藤圭子とはひとつの時代のなかでの咲いた美しい徒花(あだばな)だった。しかし、それは彼女の瞳のように、黒く大きく明るく潤んで輝いていた星であったことに、間違いはない。 ☆ 最後に(いささかセンチメンタルにはなるが)11月6日、宇多田ヒカルがtwitterでつぶやいた言葉を引用させていただく。 母方の祖母が亡くなったことを知りました。おばあちゃんとは色々あってずっと会えなかったけど、子どもの頃よく預かってもらってお世話になったのは覚えています。おばあちゃんありがとう。お焼香してあげられなかったのが残念です。
2010年 09月 13日
谷啓さんがお亡くなりになった。
谷啓さんが我嘲禅師として登場したラジオドラマ『マイケル・ジャクソン出世太閤記』を再掲載させていただく。 12日のこの日クロード・シャブロルも死去したことを知る。 今年ロメールについでヌーヴェルヴァーグの作家二人目の訃報。 21世紀に入り、クレージーもヌーヴェルヴァーグも遠い出来事になっていくのを静かに感じる入るしかない。 お二人のご冥福をお祈りいたします。
2010年 08月 30日
田家秀樹『みんなCM音楽を歌っていた 大森昭男ともうひとつのJ-POP』(徳間書店)やっと読了。
三木鶏郎の冗談工房から出発した音楽プロデューサー・大森昭男の仕事を本人からの緻密な資料と60年代、70年代、80年代とその仕事に関わったアーティストからの取材で構成した労作。いずみたく、小林亜星、杉山登志、結城臣雄、伊藤アキラ、鈴木慶一、井上鑑、樋口康雄、坂本龍一、矢野顕子、大貫妙子、糸井重里とキラ星のごとく当時のCM音楽に関わった人々が登場するが、もっとも読み応えのあるのは“第6章「三ツ矢サイダー」での出会いから「熱き心に」まで”の大瀧詠一VS大森昭男の対談。 参考サイト;日刊イトイ新聞 みんなCM音楽を歌っていた 日曜の午後「山下達郎のJACCS CARDサンデー・ソングブック」を久しぶりに聴く。 「納涼夫婦放談」二週目。 この竹内まりやとの夫婦放談といい大瀧詠一との新春放談といい十年一日のごとく内容が変わらぬ印象。スピード勝負の現在の音楽界に反して、時の流れがのんびりとしたところがこの番組のいいところ。
2010年 08月 26日
本来なら残暑見舞いというところだろうが、かわらずの酷暑が続いている。ラジオを聴いていると、この連日の猛暑の記録は1995年以来なのだという。毎朝毎夕、駅まで駅からの道を30分歩く。行きもさることながら、帰り道がきつい。汗だくになり、買い物袋の中味もとりあえずそっちのけで、エアコンをつける。今年はかなり夏バテをしてしまっている。これもラジオによると、この暑さはあと二週間ほど続くのだという。
![]() (8月25日路上にて) ☆ 以下は最近のtwitterからの抜粋です。 『日本映画空振り大三振 くたばれ!ROOKIES』(柳下毅一郎・江戸木純・クマちゃん著 洋泉社・2010年) 全50作品空振り映画紹介中、観ていたのはたった一本『カムイ外伝』だけ。あれ一本だけでもそうとう痛かったのに、これ50本観たらどれだけ痛いんだか。昨年の映画なのに、タイトルだけでは思い出せない映画がほとんどというのもすごい。死屍累々。って言うか、そこまでひどいんだったら観てみたいという倒錯的な気持ちさえわいてくる。(8月7日) 吉田修一『悪人』(朝日文庫)読了。 九州の方言で語られる切ない純愛小説。全編かなり映画的な描写が目立つ。ただし、この映画化作品を観に行きたいかって言うとちょっと…。(8月8日) 午前中、北鎌倉・浄智寺 澁澤龍彦の墓参り。12時半頃から雨模様。 (8月12日) 大宮知信『スキャンダル戦後美術史』(平凡社新書・2006年) 戦後の藤田嗣治の戦争画責任の話からはじまり、贋作騒動、アンデパンダン展、絵画バブル、公立美術館時代の問題点、芸大の受験問題まで現代に至る日本美術の諸問題を概観する。それぞれの問題をもっと突き詰めても重要な今の問題提起になる本。とりわけ第五章 終焉を迎えた「美術館の時代」と第六章 芸術大学の非芸術騒動は、例のMOT問題から芸大中心主義の芸術教育問題をとらえていて、今なお続く美術界の閉鎖性を痛感する。けっして美術関係者には書けない本。 東京国立近代美術館に藤田嗣治の「アッツ島玉砕の図」が展示されているか電話で訊ねてみた。「今その絵は展示されていない」とのこと。この日に、なんかおバカだなあという気がする。(8月15日) TBSラジオ「Dig」で藤木TDCが紹介していた『画家たちの「戦争」』を借りに図書館へ。貸出可だったのに、行方不明で貸し出せませんとはどういうこと!? 一応『みんなCM音楽を歌っていた 大森昭男ともうひとつのJ-POP』(田家秀樹)『歌に恋して 評伝・岩谷時子物語』は借りることに。(8月15日) 田家秀樹『歌に恋して 評伝・岩谷時子物語』(ランダムハウス講談社・2008年)読了。 岩谷時子本人から取材できているところが功績の本だが、本人の言葉はあまりに言葉少なく素っ気ない。だが越路吹雪、宮川泰、加山雄三、いずみたく、筒美京平との仕事から紡ぎ出された彼女の詞のドキッとするよなエロティシズム!(8月17日) とんぼの本、当たりはずれが大きいんだけど、これはよくできている。 『画家たちの「戦争」(とんぼの本)』(神坂次郎・河田明久・丹尾安典・福富 太郎 著 新潮社・2010年) 藤田嗣治、宮本三郎といった大家以外に「天覧を拒絶された戦争画」での小早川秋聲の作品、御厨純一、石川寅治などの絵を紹介する「輝ける翼、勇まし空中戦」といった頁を設けることで、「戦争画」とはなんだったのかをもう一度問う。 (8月26日) ☆ 汗だくの からっぽの夏 空みゆる ![]()
2010年 08月 03日
勝手ながら、1999年に“Art on the Rock”の第18本目として私がつくった「今野雄二が選ぶアルバム・カヴァー10 plus one」をお亡くなりになった今野雄二さんへの追悼としてご紹介させていただく。
2010年 08月 03日
8月1日(日)
『インセプション』『トイ・ストーリー3』@109シネマズ木場 「安住紳一郎の日曜天国」オープニングを聴きながら、木場109シネマズへ。 映画の日なので混雑。朝イチの回で『インセプション』。最前列で一回観ただけでは把握できないかなり難解なストーリー。これ、ぜったいディレクターズ・カット版がありそう。 それから『トイ・ストーリー3』。3D日本語吹き替え版だったのでランディ・ニューマンの歌が聴けず、ショック! とは言え、第一作から十五年、第二作からは十一年の歳月が過ぎた。あのアンディも大学生になり家を出なくてはならない。取り残されるウッディやバズたちおもちゃの運命やいかに!? 相変わらず練りに練ったピクサーの脚本力のみごとさ!さらに表現力に磨きのかかった演出。激泣きした。大人の男性の視点から見ても楽しめる、いや大人の男性にこそ観て欲しいきわめて洗練された極上のエンタテイメント作品。 『インセプション』は入れ子構造になった三層の夢の同時進行を描かなければならない。しかも、それらの夢は互いに影響しあっている。けれども、それらを同時にはけっして見ることができないのが映画の限界でもあり、演出の腕の見せどころでもある。ノーラン監督『ダークナイト』から、さらに深い世界に踏み入る。(昨晩から今朝にかけて立て続けの訃報があり、こころ取り乱しているためそのままtwitterより転載。)
2010年 07月 28日
毎週金曜深夜というか土曜早朝というか、ニッポン放送で「ラジオアーカイブ 発掘!ラジオ天国」(4:30〜5:00)という番組がある。ニッポン放送だけでなく全国のラジオ局に眠る過去の秘蔵音源を紹介する番組で、今年の4月からはじまった。パーソナリティは亀渕昭信さん(本人はアーカイブ・ジョッキーと呼んでいる)、構成は藤井青銅氏がやっているらしい。なにしろ時間が時間だけになかなかリアルタイムでは聴けないので、最近はなるたけ録音で聴くようにしている。
![]() 先日、7月17日放送分を聴いていたら、当ブログ「70年代日本映画とラジオの関係」で取り上げたラジオドラマ「HOUSE」の一部を流していた。以下はその概要。 ☆ 「オールナイトニッポン特別番組」ラジオドラマ「HOUSE」(昭和51年・1976年11月27日オンエア) 演出:上野修・大林宣彦 ナレーション:若山弦蔵 出演:岡田奈々、木之内みどり、林寛子、松本ちえこ、三木聖子他 ☆ ニッポン放送の第1スタジオから「オールナイトニッポン」の1部・2部をぶち抜いて4時間の生放送だったらしい。人気アイドルをこれだけ集めて生放送とは今では信じがたいが、録音でやるよりも(効果や音楽を事前に仕込んでおいて)生でやった方が迫力がある亀渕さんは話していた。それと録音でやるより現場はリスキーだが、結果的には早く終わるのではないかと思う。とは言え、4時間の生ラジオドラマの現場はさぞや大変だったに相違ない。 演出はドン上野こと上野修と大林監督の共同演出。出演は映画とは異なり、岡田奈々、木之内みどりなど当時の有名アイドル歌手たちが並んでいる。映画『HOUSE ハウス』の先行宣伝も兼ねられていたと推測されるが、映画は翌77年の夏休み公開。こちらのラジオドラマは半年以上前のずいぶん早いオンエアになる。 僕は映画の方は、当時奥沢に住んでいたので自由が丘の熊野神社のとなりにひっそりと佇むモルタル四角形の(わが懐かしの映画館)武蔵野推理劇場で観た。 余談だが、武蔵野推理劇場にはエントランスを出た正面左側に水飲み場があって、そこにはアルマイト製の水飲み用のカップがひとつ鎖でぶら下がっていた。これは二番館や名画座で映画を観るしかない当時の私たちのような観客への心配りだった。たしか『コミマサ・シネノート』(田中小実昌著・晶文社・1978年)には夏の熱い日、推理劇場で映画を見終わった後、コミさんがこのアルマイトのカップでおいしく水を飲む光景が描かれていた気がする。 ☆ さらに余談ながら、以前取り上げた藤井青銅氏の自伝的小説「ラジオな日々」の続編にあたる「ラジオにもほどがある」がまもなく小学館より出版されるとのこと。これには最後にオードリーとの対談も収録されているらしい。(藤井青銅は「オードリーのオールナイトニッポン」の構成作家) ☆ この日の「ラジオアーカイブ 発掘!ラジオ天国」ではラジオとアニメの関係ということで、他に以下の番組のさわりがオンエアされた。 オールナイト・ニッポン特別番組「がんばれ元気」(昭和52年・1977年5月24日放送) 出演:郷ひろみ あべ静江 田中信夫 松原愛ほか オールナイトニッポン・スペシャル「幻魔大戦」(昭和58年・1983年3月12日放送) 出演:古谷徹 小山茉美 池田昌子 永井一郎 佐藤正治ほか
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